2003 Fiscal Year Annual Research Report
消化管運動調節に与るカハールの介在細胞の細胞組織学的研究
Project/Area Number |
13670572
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
小室 輝昌 早稲田大学, 人間科学部, 教授 (20037386)
|
Keywords | 消化管 / ペースメーカー / ICC / Kit |
Research Abstract |
消化管運動調節機構の解析を企図した多年に渡る腸管神経系の研究成果は、各種運動ニューロン、知覚ニューロン、介在ニューロン等を含む回路図を書き上げているが、カハールの介在細胞(ICC)が消化管蠕動運動のペースメーカーおよび平滑筋への興奮伝達機能を有することが明らかとなって来た現在、これに組み込むべきICCに関する詳細なデータが必要である。本研究では、このような観点からモルモットの小腸を材料として、ICCの形態計測学的検索を行った。試料は全域伸展標本としてc-KitおよびPGP9.5免疫組織化学染色を施し、共焦点レーザー顕微鏡により観察した。 体重約300g、腸管の円周(平均20mm)の動物の空腸では、ICC-APは平面上で多方向に突起を伸ばす多極性の細胞で、突起の先端間の距離はしばしば200μmを越えるが、円周に沿った長さは平均約150μmで、円周あたりの数は約130個であった。このことは、蠕動運動が腸管の長軸上の一点を通る腸壁の円周から起ると考えるとき、少なくとも約130個の筋層間神経叢のICC (ICC-AP)が同時に発火するものと推定された。 深部筋神経叢のICC (ICC-DMP)は同じく多極性の細胞であるが、突起は輪走筋に沿って走行するため、円周方向の突起の長さは約200〜300μm、円周あたりの数は約80個、腸管長軸方向の細胞列の間隙は平均50μmであった。また、ICC-CMは輪走方向に位置する長さ約250〜350μmの双極性の細胞で、非常にまばらに散在するため、細胞列の間隙は測定から除外した。従来の著者らの研究から、小腸の輪走筋は豊富なgap junctionsによって結合している事が判明しているが、ICC-CMは筋束内の興奮伝達には補助的な役割をもつものと推定された。一方、興奮伝達の主役をなすICC-DMPを介した神経信号により腸壁の円周上の筋束が収縮弛緩する際には、恐らく、腸管長軸方向に50μmほどの幅にある平滑筋束が最小の単位として連動するものと推定された。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] Mitsui R., Komuro T: "Distribution and ultrastructure of interstitial cells of Cajal in the gastric antrum of wild-type and Ws/Ws rats."Anat.Embryol.. 206:. 453-460 (2003)
-
[Publications] Komuro, T.: "Morphological features of interstitial cells of Cajal."Gann Monograph on Cancer Research, No52, Gatrointestinal stromal tumor (GIST) : from pathology to molecular target therapy.. in press. (2004)
-
[Publications] Ishikawa T., Nakayama S., Nakagawa T, Horiguchi K., Misawa H., Kadowaki M., Nakano A., Inoue S., Komuro T, Takaki M: "Characterization of in vitro gut-like organ formed from mouse embryonic stem cells."Am J Physiol Cell Physiol. in press. (2004)