2003 Fiscal Year Annual Research Report
新規二種ミクログリア分化増殖因子の脳・アストロサイト・ニューロンに於ける産生機構
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13670683
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
菊池 愛子 国立精神・神経センター, 神経研究所・微細構造研究部, 室長 (70159010)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加茂 功 東邦大学, 医学部・SRL代謝病再生医学講座, 客員教授 (70108489)
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Keywords | 脳 / ニューロン / アストロサイト / モノサイト / 胸腺 / 筋様細胞 |
Research Abstract |
私たちが樹立したラット由来クローン化胸腺筋様細胞の培養情勢中に見出した二種の新規分化増殖因子、80-kDa因子と100-kDa因子は、共にモノサイト系細胞に対してそれぞれ特異的な刺激活性を有する。両者は互いに、分子サイズが異なるだけでなく、特徴ある細胞刺激効果を示し、免疫学的交差性は認められない、また共に既存のモノサイト系細胞刺激因子と異なる分子である。このような細胞刺激活性を指標として物質の分離精製を行い、そのアミノ酸分析結果をもとに、産生細胞のmRNAからcDNAを獲得、また因子タンパクに対する特異的モノクローナル抗体および合成ペプタイドを抗原としたウサギ抗血清のアフニティカラム精製標品を作成した。これらを研究探索子として脳内のモノサイト系細胞であるミクログリアに対する細胞刺激活性を見出すことが出来た。培養アストロサイトによる両因子生産能をマウス・ラット・ヒトと種をこえて認めた。筋様細胞由来の同因子、またその遺伝子組み換え体由来同因子は、免疫学的にも、生理活性に上でも同一の因子と認められた。特異抗体を用いた組織化学的検討により、生体脳ではニューロンが陽性反応を示した。そこで培養ニューロンを標的にMAPキナーゼ活性を検じ、活性を認めた。脳内の陽性部位の局在に関しては、大脳皮質や海馬における所見からは脳の成長発達との関係が窺われ、特に臭球から海馬に至る神経走向に関連する結果を得て、その機能解析を終えた。ところで、二因子は、私たちがこれまでヒト重症筋無力症の発症と胸腺摘出術による同症の鍵となると考えてきた胸腺筋様細胞で、同細胞はB細胞にも分化する非常にユニークな、多機能な細胞で、非常に豊富な細胞刺激因子を生産する能力を有する。本因子が脳にあってもグリア・ニューロンの相互関係を解き明かす研究素子となると考え今後も詳細に検討したい。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Kikuchi, A., Kamo, I.: "Haemopoietic biglycan"Recent Res.Develop.Immunology. 5. 85-96 (2003)
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[Publications] Kikuchi, A., Kamo, I.: "Pleiotropy of novel 80-kDa and 100-kDa haemopoietic facotor"生化学. 75. 21-21 (2003)
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[Publications] Kikuchi, A., Tomoyasu, H., Kamo, I.: "Roles of 80-kDa and 100-kDa haemopoietic factor in brain"Brain Pathology. 15. 71-71 (2003)
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[Publications] Kikuchi, A., Tomoyasu, H., Kamo, I.: "Neural and microglial stimulatory roles of two new heamopietic factors"Cell biology of the Neuron. 15. 51-51 (2003)
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[Publications] 柿沼 健一, 田部 美穂, 横山 安伸, 荻野 郁子, 阿部裕介, 星田 修, 新井一, 菊池 愛子, 加茂功, 桜川 宣男: "ヒト羊膜由来幹細胞(SP細胞)の酵素活性とその脳移植治療研究"Japanese Journal of Inherited Metabolic Diseases. 19. 167-167 (2003)
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[Publications] 加茂 功, 軍司健, 小坂 真一朗, 小林護, 佐々木裕子, 桜川宣男, 菊池愛子: "胸腺由来多分化能細胞の研究"Regenerative Medicne. 3. 126-126 (2004)