2001 Fiscal Year Annual Research Report
プロスタグランジンD合成酵素(L-PGDS)の冠動脈硬化予測因子としての意義
Project/Area Number |
13670755
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
尾崎 行男 愛知医科大学, 医学部, 講師 (50298569)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
垣花 将司 愛知医科大学, 医学部, 助手 (20298582)
新城 博之 愛知医科大学, 医学部, 助手 (90298597)
安川 竜也 愛知医科大学, 医学部, 助手 (60288537)
小林 正 愛知医科大学, 医学部, 教授 (40097788)
前川 正人 愛知医科大学, 医学部, 講師 (70238848)
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Keywords | 動脈硬化 / 虚血性心疾患 / 狭心症 / 心筋梗塞 / 冠動脈造影 / 冠動脈内エコー / リポカリン型プロスタグランジンD合成酵素 |
Research Abstract |
食生活の欧米化に伴い冠動脈硬化を原因とする狭心症や心筋梗塞は増加の一途を辿っている。この疾患の診断は冠動脈造影検査により行われるが、心電図からでは鑑別困難な狭心症疑いの患者も増加している。従って確定診断のため造影検査も増加してきているが、医療コストを含め患者サイドへの負担が問題となっている。 最近の分子生物学的研究により、リポカリン型プロスタグランジンD合成酵素(L-PGDS)が人間の冠動脈の動脈硬化病変部位に多く存在し、そのような症例においてはこのL-PGDSの血中濃度も上昇していることが明らかとなった。今回私たちはこのL-PGDSが外来採血などにより迅速に診断できることに注目し、L-PGDSが虚血性心疾患のマーカーになるのではないかとの仮説のもと有意冠動脈病変群152例(1枝病変群71例、2枝病変群63例、3枝病変群18例)、コントロール群44例の合計196例の冠動脈造影所見と血中L-PGDS値との関連の検討および一部の症例においては冠動脈内エコーによる冠動脈プラーク量とL-PGDS値の相関を検討した。 冠危険因子は有意冠動脈病変群とコントロール群では、高脂血症の比率が病変群で高い以外は差は認められなかった。L-PGDSはコントロール群の平均が0.565μg/mlに対し、1枝病変群0.584μg/ml、2枝病変群0.636μg/ml、3枝病変群0.662μg/mlと病変重症度が増すに従い、L-PGDSが高くなることが明らかとなった(コントロール群に対し2枝、3枝病変群ではP<0.05の有意差あり)。また冠動脈内エコーによる冠動脈プラーク量とL-PGDS値とにはr=0.46の有意な相関を認めた。 これらの検討から血中L-PGDS値が冠動脈硬化の存在診断、さらには重症度判定の指標になる可能性が示唆されているが、臨床応用までには克服されなければならない課題も多く残されている。
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