運動性無月経の女子スポーツ選手における反応性充血時の血管拡張反応の検討

2002 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 13670771
• Research Institution: Kurume University
• Principal Investigator: 吉田 典子 久留米大学, 健康・スポーツ科学センター, 助教授 (10210709)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 満園 良一 久留米大学, 健康・スポーツ科学センター, 教授 (20200058) ; 豊増 功次 久留米大学, 健康・スポーツ科学センター, 教授 (50172218) ; 池田 久雄 久留米大学, 医学部, 助教授 (50168134)
• Keywords: 血管内皮機能 / 運動 / 運動性無月経 / エストラヂオール

Research Abstract

研究の目的:女子スポーツ選手における運動性無月経の問題点を血管内皮機能の面よつ明らかにする。
研究の対象:高等学校女子バレーボール選手。
グループ1:運動性無月経群(11名)グループ2:正常群(15名)
測定項目:本年度は、グループ1および2の測定を行い、グループ2の測定は卵胞期に行った。
1)問診、2)身体組成
3)血液検査:血計、総コレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪、Estradiol、Progesterone
4)反応性充血時の血管拡張反応(血管内皮非依存性血管拡張反応):FMD
5)glyceryl trinitrate(GTN)による血管内皮非依存性血管拡張反応の測定
結果:対象者の26名のうち11名に月経異常を認めた。運動性無月経群と正常群では、体格、体脂肪率、安静時心拍数、血圧、血算、血中コレステロール、中性脂肪,HDLコレステロールに差は認めなかった。運動性無月経群では正常群に比べて血中Estradiol濃度は運動性無月経群で有意に低値であったが、血中Progesterone濃度には有意差は認めなかった。月経異常群のFMDは4.8±2.7%,正常群のFMDは9.8±6.8%と運動性無月経群は正常群に比較し、有意に低値であった。一方、GTNによる拡張反応(血管内皮非依存性血管拡張反応)には両群間に差は認めなかった。さらに、FMDは血中Estradiol濃度との間に有意な正の相関を認めた。
結語:以上より、運動性無月経の若年女子スポーツ選手では、血中Estradiol濃度の低下が関連して血管内皮機能が低下している可能性が示唆された。女子スポーツ選手におけるスポーツ傷害のひとつとして,血中Estradiol濃度低下に伴う血管内皮機能の低下を示したはじめての研究であり、これが長期に及んだ場合には、動脈硬化の早期進展にもつながる可能性があり,今後follow up studyが必要と考えられた.