2001 Fiscal Year Annual Research Report
海馬障害モデル動物のストレス下における神経細胞死と細胞新生について
Project/Area Number |
13670986
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
定松 美幸 東京大学, 保健管理センター, 講師 (90252387)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 秀樹 独立法人, 国立環境研究所・内分泌かく乱物質及びダイオキシン類の管理と評価プロジェクト・病態生理研究チ, 主任研究員 (00232596)
綱島 浩一 東京大学, 医学部・附属病院・精神神経科, 講師 (30197743)
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Keywords | 海馬 / 細胞死 / 細胞新生 / トリメチル錫 / ニューロン / グリア |
Research Abstract |
初年度である本年度は、トリメチルスズ(TMT)投与による海馬傷害モデルラットの、海馬における細胞死と細胞新生を経時的に検討した。また、TMT投与と副腎摘除術(ADX)を併用し、グルココルチコイドが細胞死と細胞新生に及ぼす影響についても同様に経時的に検討を進めた。動物屠殺24時間前にbromodeoxyuridineを投与し、新生した細胞に取り込ませて、二重免疫染色を容易にすることができた。細胞死の検討に用いたTUNEL法とBrdUの免疫染色との二重染色で、次のような結果が得られた。1)TMT投与群で、投与後1日目から海馬CA1, 3領域の錐体細胞層、歯状回顆粒細胞層、梨状葉に著明な神経細胞死を認め、5日目に最大となり、以降は減少した。2)細胞新生は投与後2日目力ら門部、顆粒細胞層の内外に点在していたが、細胞層そのものにはほとんど認められなかった。3)細胞新生はTMT投与後2日目から出現し、14日目もほぼ動揺の状態で継続していた。4)ADXは単独では若干の細胞死を認めるのみであったが、TMT投与による細胞死、細胞新生いずれの変化も増大させた。 次に、新生した細胞がなにであるかを検討した。マーカーとして、幼弱ニューロンに発現するPSA-NCAM、astrocyteのマーカーであるGFAP, vimentinを用いた。結果、1)TMT投与群において、投与後1日目から歯状回顆粒細胞層、梨状葉にPSA-NCAMが出現しており、以後14日目まで出現を認めた。2)PSA-NCAM出現量については、ADXによる変化を認めなかった。3)vimentinは、投与後14日目まで、TMT投与群、ADX単独群、TMT+ADX群すべてにおいて梨状葉、海馬門部、海馬CA1, 3領域に大量に出現しており、特にADX群において著明であった。4)vimentinの出現は、まず梨状葉、次いで海馬門部、次にCA3, CA1という経過をたどることが明らかになった。 これらの結果は、日本神経科学学会、北米神経科学学会、国際神経精紳薬理学会においてポスター癸表し、現在投稿準備中である。
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[Publications] Ishikura N., Tsunashima K., Watanabe KI., Nishimura T., Shirayama Y., Kato N.: "Temporal change of hippocampal enkephalin and dynorphin mRNA following trimethyltin intoxication in rats ; effect of anticonvulsant"Neuroscience Letters. 306. 157-160 (2001)
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[Publications] Imai H., Nishimura T., Sadamatsu M., Liu Y., Kabuto M., Kato N.: "Type II glucocorticoid receptors are involved in neuronal death and astrocyte activation induced by trimethyltin in the rat hippocampus"Experimental Neurology. 171. 22-28 (2001)
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[Publications] Nishimura T., Schwarzer C., Furtinger S., Imai H., Kato N., Sperk G.: "Changes in the GABA-ergic system induced by trimethyltin application in the rat"Brain Research Molecular Brain Research. 97. 1-6 (2001)
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[Publications] Tsutsumi S., Akaike M., Arimitsu H., Imai H., Kato N.: "Ciruculating corticosterone alters the rate of neuropathological and behavioral changes iunduced by trimethyltin"Experimental Neurology. 173. 86-94 (2002)
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[Publications] 坂本英史, 定松美幸, 加藤進昌: "ストレスと海馬"脳の科学. (印刷中). (2002)