2001 Fiscal Year Annual Research Report
消化器外科手術後愁訴に対する鍼灸治療の基礎的および臨床的研究
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13671265
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Research Institution | Meiji College of Oriental Medicine |
Principal Investigator |
咲田 雅一 明治鍼灸大学, 鍼灸学部, 教授 (40117883)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 賢治 明治鍼灸大学, 鍼灸学部, 助手 (10257834)
岩 昌宏 明治鍼灸大学, 鍼灸学部, 助手 (60232633)
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Keywords | 結腸運動 / LSB / 鍼通電刺激 / CCK / motion sickness / 胃電図 / 鍼刺激 |
Research Abstract |
本年度は結腸運動に対する鍼通電刺激の効果及び嘔気に対する鍼刺激の勢果を検討した。 1.ラット結腸運動に対する鍼通電刺激の効果(動物実験) ラット結腸の電気活動であるLSB (long spike bursts)を記録するために、近位結腸に電極を縫着し、慢性的に記録した。5分間に出現するLSBの数を指標に、ラットの後肢(前脛骨筋)に鍼を刺入し、30分間の通電刺激を行った。なお、通電頻度は3、15、100Hzとした。 3Hz刺激では刺激前が3.6±1.2回であったのに対し、刺激後30分が3.7±1.1回、刺激後60分が3.9±1.4回であった。15Hz刺激では刺激前が3.9±0.9回であったのに対し、刺激後30分が4.3±1.2回、刺激後60分が4.3±1.3回であった。100Hz刺激では刺激前が3.7±1.0/5回であったのに対し、刺激後30分が4.9±1.1回、刺激後60分が5.0±1.0回であった。よって3、15Hz刺激ではあまり変化しなかったが、100Hz刺激ではLSBの頻度が増加した。 現在は100Hz刺激によるLSB発生頻度の増加にCCKが関与しているのかを検討するために、CCK-Aレセプター拮抗薬(CR1505)およびCCK-Bレセプター拮抗薬(L365-260)をラットの脳室内に投与し、その影響を検討中である。 2.嘔気に対する鍼刺激の効果(ヒト実験) 嘔気を主症状とするmotion sicknessを、optokinetic drumにより人為的に引き起こし、内関穴への鍼刺激がその症状の程度を改善するのかを胃電図を指標に検討した。健常成人36名を無作為に対照群・置鍼群・鍼通電群に分類して比較した。その結果、対照群および鍼通電群に比して、置鍼群ではmotion sicknessに伴う胃電図の異常波形の出現が抑制され、早期に正常波形へと回復すること、さらに嘔気症状の出現率が最も低いことを確認した。これらの事は、置鍼による鍼治療がmotion sicknessに伴う嘔気に対して有効であり、その背景に胃電図の異常波形の抑制という生理的な変化が関わっている事を示唆するものであった。
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