ヒト肺癌から分離した新しい転移制御遺伝子の機能解析と診断治療への応用

2001 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 13671404
• Research Institution: Dokkyo Medical University
• Principal Investigator: 安田 真一 獨協医科大学, 医学部, 助手 (60133279)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 長井 千輔 獨協医科大学, 医学部, 講師 (10118482)
• Keywords: ヒト肺癌 / 転移制御遺伝子 / サブトラクション法

Research Abstract

癌の他臓器への転移は、患者の予後と密接に関連する重要な問題で、この癌転移機構は多くの過程を経て成立するが、これらの過程を解明していくことは癌治療上から重要である。この目的のために、通常ヌードマウスの皮下(異所性)移植では転移が生じないとされているヒト癌細胞にて、唯一肺に転移する肺癌細胞株を樹立し、この細胞より高転移と非転移株を分離して、サブトラクション法にて癌転移制御の遺伝子の検討を行ない、新規を含む幾つかの遺伝子を得た。これらの遺伝子の癌細胞の浸潤・転移における役割を明らかにするために、細胞生物学および分子生物学的見地より解析を実施した。
発現の検出された遺伝子は、チトクロームオキシダーゼ等のミトコンドリア遺伝子、リボゾーマル蛋白関連の遺伝子、乳酸脱水素酵素、エンドプレビン、肺サファクタント、マウス筋蛋白、PAF-AH、67kDaラミニンレセプターおよび未知の遺伝子を得たが、我々はヌードマウスの異所性移植にて肺転移する癌細胞の特性から、まずPAF-AHと67kDaラミニンレセプター(LR)遺伝子の解析を実施した。LRは基底膜の主要構成成分、細胞接着蛋白のラミニンに対する特異的レセプターで、癌転移との関連が示唆されているが、解析の結果、67kDa分子の遺伝子の一部にエクソンの欠損があることを見い出した。また、PAF-AHは癌転移に関運する血小板活性因子(PAF)の加水分解酵素であり、さらに細胞の移動に関与するとされているが、癌転移に置ける役割は不明であり、特に非転移株でのこの発現はPAFの不活化が転移制御に関与することを示唆しており、これらの詳細に関して検討を行なっている。