2001 Fiscal Year Annual Research Report
慢性関節リウマチの膝関節内靭帯付着部の病態とMRIによるその早期診断に関する検討
Project/Area Number |
13671543
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
藤井 克之 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (10112856)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 真希 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (00266701)
辻 美智子 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (80207365)
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Keywords | 慢性関節リウマチ / 膝関節内靭帯付着部 / コラーゲン関節炎 / MRI |
Research Abstract |
これまでの我々の研究から、RA患者の関節炎の発症と進展には関節軟骨で合成されるII型コラーゲンに対する自己免疫応答が関与していることが示唆され、事実、軟骨下の骨髄には、破骨細胞やTリンパ球の集積が観察されている。一方、RAにおいては、早期より関節内靭帯に破壊をきたすことにより、関節の不安定性が生じてくるものと考えられているが、その詳細な病態については明らかにされていない。そこで、本研究では、RA患者の人工膝関節置換術の際に、靭帯と骨への付着部を合わせて一塊採取して組織学的観察を行うとともに、ラットのコラーゲン関節炎(CIA)を病態モデルとして、関節内靭帯とその付着部に生じる変化を病初期より経時的に検討する。また、RA患者においては、経時的に膝関節のMRIを撮像し、組織学的所見と合わせ関節内靭帯病変の早期診断の可能性について検討した。 その結果、RA患者の前・後十字靭帯付着部は、線維軟骨様の組織像を示しており、同部では滑膜組織の増殖ならびに炎症性細胞の浸潤はわずかであるものの、TRAP陽性細胞、CD68陽性のマクロファージ系細胞が多数存在することが観察された。正常ラットの十字靭帯付着部も線維軟骨様の組織像を示していた。CIAラットでは、感作後2週の早期には、滑膜組織の肥厚は認められないものの、靭帯付着部周囲の骨髄組織には、すでにTRAP陽性の大型の多核細胞の集積が認められた。免疫染色の結果、靭帯の付着部にはII型コラーゲンが存在し、その周囲にはCD68で陽性を示すマクロファージ系の細胞が確認された。 以上のことから、CIAラットおよびRA患者において、骨への十字靭帯付着部に早期から、TRAP陽性細胞、CD68陽性のマクロファージ系細胞が多数認められた。RA患者の膝関節では、十字靭帯実質が温存されているかに見られても、その付着部では上記の細胞の集積が観察されたことから、これらの細胞がII型コラーゲンに対する免疫応答や靭帯破壊をもたらすものと考えられる。
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Research Products
(2 results)