2003 Fiscal Year Annual Research Report
変形性関節症の治療のための凍結保存軟骨細胞の増殖と移植
Project/Area Number |
13671545
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
龍 順之助 日本大学, 医学部, 教授 (30096854)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西郷 嘉一郎 日本大学, 医学部, 助手 (00339318)
|
Keywords | ヒアルロン酸 / 凍結軟骨細胞 / IL-1α / TGF-β / 軟骨組織 / 豚 |
Research Abstract |
凍結軟骨細胞の保存添加剤としてヒアルロン酸の可能性を検討するためヒアルロン酸の軟骨変性抑制作用について実験した。(方法)幼若雌豚4週齢の脛骨関節面の軟骨組織を採取し,直径3mm厚さ1mmの均一な円柱形の軟骨片を作成した.この軟骨片を用い(1)コントロール群,(2)IL-1(10ng/ml)添加群,(3)TGF-β添加(25ng/ml)群,(4)IL-1(10ng/ml)+TGF-β添加(25ng/ml)群,(5)IL-1(10ng/ml)+ヒアルロン酸添加群の5群を作製し(n=5),それぞれ37℃,CO^25%条件下で12時間,24時間培養した.軟骨組織の破壊の指標としてDMMB法にてGAGを測定し,また,各群の軟骨片をHE染色,サフラニン-O染色を行い組織学的に検討した. (結果)DMMB法にてIL-1添加群は両時間においてコントロール群と比べ経時的に有意にGAGの遊離の亢進を認めた(P<0.01).各培養時間でTGF-β添加群はコントロール群と比べ有意な差はなかった.また培養24時間においてIL-1+TGF-β添加群はIL-1添加群と比べ遊離が有意に抑制されていた(P<0.05).各培養時間でIL-1+ヒアルロン酸添加群はIL-1添加群と比べGAGの遊離に差は認めなかった.サフラニン-O染色においてIL-1添加群では破壊像を認め,またIL-1+TGF-β添加群においては破壊抑制所見が認められた.IL-1+ヒアルロン酸添加群では破壊抑制所見は認めなかった.(考察)豚関節軟骨においてもIL-1刺激によりグリコサミノグリカンは経時的に遊離し,TGF-β添加によりその遊離は抑制された.しかし、ヒアルロン酸添加によりIL-1刺激によるGAGの遊離は抑制できなかった.このことはヒアルロン酸は凍結軟骨細胞においても軟骨変性抑制作用を有さず保存添加剤としては有用ではないと考えられた。
|