2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13671563
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
篠塚 典弘 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助手 (80261907)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西野 卓 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (80009703)
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Keywords | c-fos / RT-PCR / 人工呼吸 |
Research Abstract |
昨年度陽圧人工呼吸下の肺組織にてc-fosのmRNAの発現を確かめることが出来たことを報告した。これは人工呼吸30分間という短い間ですでに細胞が、ストレスをc-fosのmRNAという形で表現していることを示している。本年度は、更にその定量に取り組むと共に片肺換気を行うことによって、反体側の肺をコントロールとして用いることに重点をおいて研究を進めた。昨年度も報告したように、人工呼吸による肺組織へのストレスは肺組織自体の重力の影響を受けるためか、腹側と背側では異なっていることが判った。そこで1匹のラットより組織片を肺尖部・肺底部において左右、腹背側と8カ所を同時に採取し比較検討することとした。 まず非換気側の肺においてはc-fosの発現はまちまちであり、必ずしも腹側が高いという傾向が見られなかった。これはc-fosが肺胞上皮細胞からのみ発現されるのではなく、循環動態の変動によって肺血管の上皮細胞においても発現しているためと考察したが、これを確認するためには、免疫染色などの手法を用いて局在を証明する必用があると考えられた。しかし、肺組織における免疫染色の技術がないために局在を証明することはできていない。 換気側においては、やはり大きく体積が変動する腹側において背側よりも発現が強い傾向がみられたが、希釈による半定量では約2倍程度の差のみであった。しかし個体間での差も大きく単純に比較することは難しいと考えられた。 開胸下の人工呼吸という手術と同じストレスを与えた状態を特に意識しての研究であったが、2時間以上の換気を行い蛋白の発現を待ってからウエスタンプロットを行った方が手技的に容易であるとの助言を受け、4時間片肺換気を行いc-fosおよびリン酸化c-Junの発現を同方法にて解析したところ、PEEP10cmH_2Oでの換気側において有意にc-fosの発現が高いことが判った。
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