2001 Fiscal Year Annual Research Report
X染色体ヒト精巣腫瘍感受性遺伝子の同定とX染色体不活化機構の関与についての研究
Project/Area Number |
13671647
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
岡田 裕作 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (20127062)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金 哲将 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (10204968)
吉貴 達寛 滋賀医科大学, 医学部, 助教授 (80230704)
岡本 圭生 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (50303780)
杉原 洋行 滋賀医科大学, 医学部, 助教授 (30171169)
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Keywords | 精巣腫瘍 / 倍数体 / X染色体不活化 / 癌遺伝子 / 変異 / XIST |
Research Abstract |
われわれは精巣腫瘍における核型異常の中で特にその頻度の高いX染色体に主眼をおいて研究をすすめた。その理由としてX染色体上には1)X linked Ichthyosis(責任遺伝子STS)をはじめとする精巣腫瘍に比較的高感受性を示す疾患群の責任遺伝子がいくつか存在していること、2)XXY核型を示すKlinefelter syndromeで胚細胞腫瘍の発生頻度が高いこと3)Cancer Testis antigensなど精巣特異的抗原がX染色体上にはクラスターとして数多く存在すること、4)Xq27上に家族性精巣腫瘍の候補遺伝子座(TGCT1)がXq27にマッピングされたこと(Rapley et al.,Nature Genetics 2000)があげられる。これらの事象は精巣腫瘍発生におけるX染色体の関与を強く裏付けるものと考えたが、平成13年度の研究では以下のことがさらに明らかとなった。 X染色体には正常女性核型XXにみられるようにXISTを介したX染色体不活化機構(X inactivation)が存在しいわゆるcounting mechanismによる余剰Xの不活化というユニークな機能が存在するが、男性XYにおいても精巣胚細胞にだけはXISTの発現がみられる。しかし精巣胚細胞におけるXIST発現の役割は不明であった。われわれは精巣腫瘍および精巣胚細胞におけるXISTの転写産物は女性XXにおける不活化Xとは異なり、X染色体遺伝子(GPC3,FMRおよびAR遺伝子)のメチル化を介した不活性化には繋がっていないことを明らかにした。このことから精巣腫瘍におけるX染色体の増加はXISTの発現にも関わらずInactivationを受けないことが想定された。したがって精巣腫瘍における余剰X染色体はXISTの発現にも関わらずすべて非メチル化であり活性型X染色体であると考えられた。従って精巣腫瘍におけるX染色体上に存在する精巣腫瘍発生に関わる感受性遺伝子は癌抑制遺伝子よりは癌遺伝子的な分子を検討していくべきと考えられ(投稿準備中)。この中でXq27の侯補遺伝子座として癌遺伝子MCF2に着目し変異の有無を精巣腫瘍組織、細胞株で検討したが現在のところ明らかな変異は同定されていない。平成14年度は広範な精巣腫瘍のメチレーションプロフィールを明らかにするとともにmale germ cell tumorにおけるXIST発現の意義をさらに明らかにしたいと考えている。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Yuasa T et al.: "Expression patterns of cancer/testis antigens in testicular germ cell tumors and in adjacent testicular tissues"Journal of Urology. 165. 1790-94 (2001)
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[Publications] Takimoto et al.: "Torsion of a spermatocele: a rare manifestation of the spermatocele"Urologia Internationalis. (in press). (2002)