2001 Fiscal Year Annual Research Report
移行上皮特異的膜蛋白質ウロプラキンの基楚的研究と臨床応用
Project/Area Number |
13671648
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
田中 努 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (00324583)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金 哲将 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (10204968)
若林 賢彦 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (80191724)
吉貴 達寛 滋賀医科大学, 医学部, 助教授 (80230704)
上仁 数義 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (90324590)
片岡 晃 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (80293835)
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Keywords | 移行上皮癌 / ウロプラキン / 腫瘍マーカー / 膀胱癌 / 腎盂癌 |
Research Abstract |
ウロプラキンIa、Ib、II、IIIは尿路上皮に対して、組織特異的で分化依存性の膜蛋白質である。われわれは膀胱移行上皮癌におけるウロプラキンIaの発現を検討することによって、組織学的腫瘍マーカーとしての有用性を評価した。そのために、まずヒトウロプラキンIaのアミノ酸配列の一部を合成して免疫原とし、家兎を用いてポリクローナル抗体を作製した。この抗体の特異性を調べるために、尿路上皮を始めとして多数の他臓器パラフィン切片を免疫組織染色した。われわれが今回作製した抗体は、移行上皮以外のいずれの細胞にも交叉反応性を示さず特異性が確認された。さらに、念のためヒトウロプラキンIa遺伝子の臓器特異性を検討し直した。全身主要臓器を対象にしたRT-PCR実験の結果、この遺伝子は尿路上皮と移行上皮癌組織にだけ発現していることが確認された。当科で根治的膀胱全摘除術を施行された症例と癌死した剖検例から得られた組織標本を用いて、免疫組織化学的に移行上皮癌細胞におけるヒトウロプラキンIaの発現を調べた。全摘症例において63例中61例(96.8%)の原発巣が陽性所見を示した。高・中分化癌18例中17例(94.4%)、低分化癌45例中36例(80.0%)において、50%以上の癌細胞が陽性に染色された。表在癌では22例中20例(90.9%)、浸潤癌では41例中33例(80.5%)が陽性であった。ウロプラキン高発現群と低発現群の癌特異的5年生存率は、それぞれ68.6および75.0%で、統計学的有意差は認められなかった。転移巣においては、18病巣中13部位において陽性反応が確認された。このような安定したヒトウロプラキンIa蛋白質の発現状況から考えると、この蛋白質は非常に優れた移行上皮癌の組織学的マーカーになることが期待できる。
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