2002 Fiscal Year Annual Research Report
動物実験モデルを用いたトキソプラズマの母子感染の機序の検討
Project/Area Number |
13671696
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小島 俊行 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (90153535)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堤 治 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (60134574)
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Keywords | トキソプラズマ / 母子感染 / 先天性トキソプラズマ症 / 動物実験モデル / サイトカイン / IFN-γ |
Research Abstract |
1)小腸のトキソプラズマに対する感染抵抗性の妊娠による変化 (1)妊娠マウスの小腸のparasitophorous vacuole数は非妊娠マウスに比べ、3.1倍有意に高値であった(p=0.0022)。 (2)小腸におけるトキソプラズマの感染状態は、びまん性ではなく炎症性フォーカスを作り散在性であった。妊娠マウスの小腸の炎症性フォーカス数は非妊娠マウスに比べ、3.7倍有意に高値であった(p=0.0003)。 (3)そこでフォーカスあたりのparasitophorous vacuole数を計算した。妊娠マウスと非妊娠マウスのparasitophorous vacuole数/フォーカスは有意差を認めなかった(p>0.05)。すなわち妊娠マウスの小腸でのタキゾイトの増加は炎症性フォーカス数の増加によることが示された。 2)その他の臓器のトキソプラズマに対する感染抵抗性の妊娠による変化 (1)妊娠マウスの子宮のparasitophorous vacuole数は非妊娠マウスに比べ、34.3倍有意に高値であった(p=0.0003,Mann-Whitney U-test)。 (2)妊娠マウスの卵巣のparasitophorous vacuole数は6.1±11.3で、非妊娠マウスは0であった(p=0.0014,Fisher's exact test)。 (3)トキソプラズマは経口的に感染すると、腸管から侵入し門脈を経て肝臓に到達し、次に血流を介し全身の臓器に播種する。すなわち、肺、心、子宮、卵巣は感染巣として同様の条件と考えられる。ところが妊娠マウスの肺、心のparasitophorous vacuole数は非妊娠マウスに比べ、それぞれ3.8倍、2.2倍で子宮に比し低値であった。 妊娠により子宮は、他臓器に比べ特異的に著名にタキゾイトが集積する。 3)サイトカイン(IFN-γ,IL-2,IL-4,IL-6,IL-10) 感染抵抗性の差違の機序の解明のため、血清中サイトカインを測定した。感染7日後、妊娠マウスは有意に血清IFN-γ濃度が非妊娠マウスに比べ高値であった(p=0.0496,Student's t-test)。しかしそれ以外の血清サイトカインおよび脾細胞培養上清中のすべてのサイトカインは、妊娠、非妊娠マウス群で有意差を認めなかった。したがって腸管および子宮局所のリンパ球のサイトカイン産生能を検討する必要がある。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 小島俊行: "シンポジウムII血液・胎盤を介する母子感染症の最近の動向、6.トキソプラズマ"日本産科婦人科・新生児血液学会雑誌. 11(1). S28-S29 (2001)
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[Publications] 小島俊行: "クリニカルカンファレンス 7.周産期医療と児の中長期予後 1)母子感染"日本産科婦人科学会誌. 53(9). N285-N290 (2001)
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[Publications] 小島俊行, 堤 治, 武谷雄二: "周産期医学必修知識トキソプラズマ"周産期医学. 31増刊号. 89-92 (2001)
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[Publications] 小島俊行, 堤 治, 武谷雄二: "トキソプラズマ感染におけるIgG抗体アビディティの有用性"産婦人科の世界. 54(2). 23-31 (2002)
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[Publications] 小島俊行, 堤 治, 武谷雄二: "難治性寄生虫症 4.先天性トキソプラズマ症"日本臨床寄生虫学会誌. 13(1). 39-44 (2002)
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[Publications] 小島俊行, 吉田良一, 吉田智子, 堤 治, 武谷雄二: "胎児・新生児医療-'02年のトピックス 妊婦のトキソプラズマIgM抗体陽性と出生児への感染"産婦人科の世界. 55(1). 73-83 (2003)
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[Publications] 小島俊行, 堤 治, 武谷雄二ら共著: "周産期医学必修知識"東京医学社. 876 (2001)