2001 Fiscal Year Annual Research Report
歯の形成を調節する成長因子のクロストーキングの遺伝子発現-TGF-βスーパーファミリーを中心として-
Project/Area Number |
13671916
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
稲毛 稔彦 日本大学, 歯学部, 助教授 (90096769)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鴨川 紘征 日本大学, 歯学部, 助教授 (80059857)
桑田 文幸 日本大学, 歯学部, 助教授 (60120440)
大井田 新一郎 鶴見大学, 歯学部, 助教授 (10114745)
|
Keywords | TGF-β / super family / シグナル伝達 / BMP / Smad / エナメル質形成 / 象牙質形成 |
Research Abstract |
TGF-β super familyの機能は複雑で細胞増殖およびapoptosis誘導もする。この作用はBMPなどの成長因子の相互作用によるものと考えられる。近年,転写因子Smads famlyがTGF-β super familyのシグナル伝達機構を調節していることが報告されたが,歯の形成過程におけるSmadに関する研究は行われていない。そこで,two color FISH法を用いてTGF-βリガンド→receptor→Smadのsignal伝達経路を解析した。 材料:胎生期11から18日および生後0から7日のDDY系マウスの臼歯および体重約40gのマウス切歯を用いた。4%paraformaldehyde溶液を用いて固定し,パラフィン切片とした。 in situ hybridization(ISH)および免疫組織化学:TGF-β,BMP,receptor,Smad 1,5,6,7,8cDNAを用いてFITCあるいはRhodamine標識のRNA probeを作成してhybridization後,共焦点レーザー顕微鏡でシグナルの検出を行った。免疫組織化学ではISHで用いたprobeに対応した抗体を使用してABC法で免疫染色を行った。 結果:Smad1,Smad4およびSmad6遺伝子発現および免疫反応は同じ局在を示し,蕾状期では歯堤の中央部の上皮細胞および歯胚の外縁の上皮細胞内に強く観察された。帽状期では,エナメル器では反応は中間層細胞に分化する細胞および内外エナメル上皮の遠心部細胞質およびcervical loopを構成する上皮細胞はきわめて強かった。歯乳頭における反応は内エナメル上皮下層の歯乳頭細胞が中央部の歯乳頭細胞に較べ強かった。鐘状期の硬組織が形成されない時期では,反応はこの部位の内エナメル上皮にきわめて強く,中間層およびその周囲の数層の星状網細胞にも強かった。咬頭部のenamel knotの上皮細胞には特に強い反応がみられた。硬組織が形成される時期では,反応は象牙芽細胞,エナメル芽細胞にきわめて強かったが,cervical loopでは反応は弱かった。これらのSmad familyの遺伝子発現および局在はBMP-2およびBMPR-IBによる反応と一致しており,Smad familyはBMPのシグナルを細胞内に伝達していることが示唆された。このように,Smad familyはBMPと共同して歯の形成に関係している細胞の重要なシグナル伝達をしているものと考えられた。
|