2002 Fiscal Year Annual Research Report
イオンエッチング-走査電顕法による口腔組織三次元微細構造の解明
Project/Area Number |
13671930
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
長門 俊一 福岡歯科大学, 歯学部, 教授 (80084284)
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Keywords | 連続切片 / イオンエッチング / 走査型電子顕微鏡 / 三次元再構築 / 骨 / 歯 / 唾液線 / 免疫染色 |
Research Abstract |
平成13年度から3年間にわたる第2年度の研究から以下の結果を得た。イオンエッチング-SEM法を応用しラット舌背後方部糸状乳頭の毛細血管網形成過程の検討では、生後2週に結合組織二次乳頭の形成が開始されること、生後4週ではいくつかの二次乳頭中に毛細血管ループの進入が認められ、その先端には直径約5μm、長さ約15μmの盲管が存在することが明らかにされ、この部の血管網の成長が特異なものであることが示唆された。唾液腺免疫細胞化学へのイオンエッチング-SEM法応用に関する研究では、ザンボーニ固定およびLR White樹脂包埋により唾液腺免疫細胞化学に適当なエッチング試料の作製が可能であること、生後の発生分化過程にあるラット舌腺では導管系を持つエブネル腺と典型的な導管系を欠くウェバー腺で、組織発生の様式が著しく異なることが示唆された。骨組織ならびに象牙質、セメント質、歯槽骨などの歯牙硬組織の構造解析にイオンエッチング-SEM法を応用するための試料作製法の検討では、カルノフスキーあるいは3%グルタールのいずれの固定液を用いた場合も灌流固定による迅速な固定が骨細胞およびその突起ならびに基質線維の保存に重要であること、10%EDTAによる脱灰で良好な結果が得られることを明らかにした。また本法を応用してラットの上腕骨および下顎臼歯のエポン切片の走査電顕観察を行い以下の結果を得た。上腕骨の観察では、内および外基礎層板あるいはハヴァース層板のいずれにおいても、基質膠原細線維の配列方向と骨細管(骨細胞の突起)の走行方向の間に密接な関連が存在することが示唆された。下顎臼歯の観察では、適当なエッチング条件を設定することにより、歯肉や歯根膜、歯髄などの軟組織から石灰化度や組織構築がそれぞれ異なる象牙質、セメント質、歯槽骨を同時に観察することが可能であることを明らかにした。
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