2002 Fiscal Year Annual Research Report
リン酸カルシウム系材料の疑似体液浸漬による骨伝導能評価法の確立
Project/Area Number |
13672040
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
今 政幸 徳島大学, 歯学部, 助手 (80116813)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅岡 憲三 徳島大学, 歯学部, 教授 (50014189)
宮本 洋二 徳島大学, 歯学部附属病院, 講師 (20200214)
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Keywords | 生体材料 / 擬似体液 / 骨伝導性 / 生体親和性 / リン酸カルシウム / チタン / 細胞培養 / アパタイト |
Research Abstract |
本研究の目的は、リン酸カルシウム系材料を中心とした生体材料の骨伝導能を疑似体液浸漬法で評価するための指針を確立することである。昨年度に引続き、各種の調整を施したアパタイト系材料および表面修飾を施したチタンについて、擬似体液浸漬試験による炭酸アパタイトの析出挙動を詳細に調べ、それらの結果と細胞培養試験および硬組織埋入試験による結果とを比較検討した。数種の擬似体液で浸漬試験を行った結果、擬似体液の種類や調整法により材料表面への炭酸基含有アパタイトの析出挙動が著しく異なることを明らかにした。具体的には擬似体液中のカルシウムイオン濃度や有機成分の含有量などが析出挙動に影響を及ぼすことがわかった。各種材料間の差異を検討した結果、材料表面に炭酸アパタイトが析出し易い擬似体液では、材料間の活性の違いを重量変化だけで識別することが難しかった。しかし、SEM観察では材料間の活性の差異を確認できることがわかった。これに対し、炭酸アパタイトの析出能力の低い擬似体液では、重量変化で有意差を得ることが比較的容易であった。特に疑似体液中でアパタイト系材料のような活性の高い材料間の比較には、炭酸アパタイトの析出能力の低い疑似体液の使用が有効であることが示唆された。ヒト骨芽細胞様細胞培養試験によるmRNAの発現および硬組織埋入試験(家兎の脛骨)による材料への骨接触を調べた結果、疑似体液浸漬試験で活性の高い材料は骨芽細胞の分化を促進させる可能性が高く、硬組織埋入早期に骨接触を示すことを明らかにした。しかしながら、疑似体液浸漬の活性がわずかな差異の材料間では、骨接触性の違いを明らかにできなかった。本年度の検討において、疑似体液浸漬試験の結果と細胞培養試験または硬組織埋入試験の結果とに関連性が認められたが、さらに疑似体液浸漬試験と骨伝導性の具体的な相関を明らかにする必要があるものと思われた。
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