2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13680118
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
赤星 礼子 佐賀大学, 文化教育学部, 教授 (10192890)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
甲斐 今日子 佐賀大学, 文化教育学部, 助教授 (10194656)
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Keywords | 高齢者 / 老親子関係 / 同居観 / 生活福祉 / アルゼンチン |
Research Abstract |
本年度の研究活動は、これまでに実施してきた(本年度も佐賀県の生活実態調査に関わり、「同居観」の質問項目を加えてもらった。報告書が公表された後には、資料として使えることになる。)調査結果を、今後どのように集大成するかについて研究してきた。まず、研究課題そのものの理論的な枠組みにはじまり、さらに、実証するための調査方法(すでに実施した調査についての方法論的位置付けとなる。)の検討である。 研究課題は、高齢期の生活支援としての老親子関係の探求としているが、生活課題(問題)としてあるのは「老親子同居観」である。そこで、この研究課題の探求のために、生活問題への解決・対応を第一の学問的課題とする「生活福祉文化」を学ぶことにし、現在、博士後期課程に在籍している。本研究課題で博士論文を書くよう計画している。 高齢期になると、なぜ子との同居に拘るのか、という問いから研究を始めた。本年度、機会を得て、アルゼンチンの日本人、佐賀県人会会員である、1世の高齢女性5名に面接調査を行った。5名に既婚子がいるが、既婚子とは同居しておらず、1名が未婚子と同居、3名は一人暮らしであった。この3名については、長男の配偶者が日系人ではなく、日本語もあまり通じないため「話さない」とのことであった。しかし、ここで重要だと思うのは、少なくとも私が会った高齢女性は、長男との関係は決して悪くはないが、同居したいとは「全く考えていない」ということであった。アルゼンチン社会は、夫婦家族制である。親が既婚子と同居することはない。これが1世にも影響しているのではないかと推測している。なお、アルゼンチンは家族主義的な社会であり、何かあれば家族が集まるという。親が、高齢でお世話が必要なら、子どもが世話に行くか、あるいはお金を出し合ってお手伝いを雇う、ということである。このアルゼンチンでの事例研究は、本研究課題にも重要な示唆を得たと考えている。
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