2001 Fiscal Year Annual Research Report
生徒のミスコンセプションの克服を基盤にした数学教授法の開発
Project/Area Number |
13680327
|
Research Institution | Kawamura Gakuen Woman's University |
Principal Investigator |
原田 耕平 川村学園女子大学, 教育学部, 教授 (10238181)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
能田 伸彦 岩手大学, 教育学部, 教授 (80020121)
|
Keywords | ミスコンセプション / 数学教授法 / 証明問題 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ジュネープ学派の相互作用論を手掛かりとして、生徒のミスコンセプションの克服を基盤にした数学教授法の開発を行なうことである。 我々がその相互作用論の中でとくに注目するのは「弁証法的-教授学的方法」である。この方法は、子どもに因果的関係を認識させるために、その認識において妥当でない説明を行い、それに対立する子どもの考えによって子どもに認識の変換を達成させる活動を基盤にしている。 我々は研究目的を達成するために、中学2年生を対象として「弁証法的-教授学的方法」に基づく2つの実験を実施した。第1の実験では「三角形にっいての証明問題」、第2の実験では「平行四辺形にっいての証明問題」を使用した。いずれの問題の解決でも、証明における図形が妥当な結果を示していることから生じる「3点が1直線上にある」というミスコンセプションに注目した。このミスコンセプションを克服するためには、第1の問題では、命題の同時性から命題の推移性への認識の変換あるは直接的推論から「もし3点が1直線上にないとして」というような背理的推論への変換が要求され、また第2の問題では、線分の相等から線分比への認識の変換あるいは直接的推論から背理的推論への変換が要求される。実験結果から次の結論が得られた。第1の問題の解決では、ミスコンセプションをもっすべての個人とすべてのペアが「命題の同時性から推移性への変換」によってミスコンセプションを克服した。第2の問題の解決では、ミスコンセプションをもつほとんどのペアが「線分の相等性から線分比への認識の変換」によってミスコンセプションを克服した。実験結果は、「弁証法的一教授学的方法」がミスコンセプションの克服を基盤とする教授法の中核となることを示している。
|