2002 Fiscal Year Annual Research Report
京都市の朝鮮学校における朝鮮語・日本語のバイリンガル教育の方法と成果
Project/Area Number |
13680363
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Research Institution | Kyoto Notre Dame University |
Principal Investigator |
湯川 笑子 京都ノートルダム女子大学, 人間文化学部, 助教授 (30309075)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小島 勝 龍谷大学, 文学部, 教授 (40140123)
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Keywords | イマージョン / バイリンガル / 継承語教育 / 朝鮮学校 / 幼稚園 / 第2言語教育 / 朝鮮語 / 民族教育 |
Research Abstract |
本研究は、学校法人朝鮮学園の継承語教育の言語教授法とその成果を明らかにすることを目的として、「エスノグラフィー」の方法で授業と学校生活全般を「不参与・参与観察」した。 研究の第2(最終)年度である14年度は、京都市内の3校ある朝鮮学校幼稚部のうち、2校を重点的に、残る1校と関西のもう1校の幼稚部を比較対照のために数回観察し、(1)言語習得能力の多様性と、(2)日本語使用について主に研究した。その結果、次のことがわかった。(1)通時的な言語習得過程を詳しく見ると、習得の速度や母語の使用頻度・理由に個人差はあるが、年長児の冬になると、全員にかなり高度な第2言語産出能力が身につく。集団の大きさ、構成員の資質、保育活動の内容などの違いのために、クラス間の言語能力の差も見られた。(2)第2言語習得の過渡期である幼児イマージョンでは、母語である日本語の使用は不可避である。先生の教授上のストラテジーとしても用いられるし、幼児間のコミュニケーションの道具(少なくとも年少期の2学期末あたりまで)として、また、第2言語で未習特の表現・語彙に代わるものとして用いられていた。 この他にも、昨年度に引き続いて教授法の研究と総合的な言語能力についての分析も継続した。英語イマージョンとの差異については、複数の英語イマージョンの観察が今年度中には(観察校の事情により)不可能だったので、今後の研究課題とした。
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