2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13833007
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
廣井 豊子 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (30305643)
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Keywords | 内分泌かく乱化学物質 / ビスフェノールA / ドーパミン / ビスフェノール受容体 / 精製 / protein disulfide isomerase / 甲状腺ホルモン |
Research Abstract |
ビスフェノールA (BPA)を胎児性に暴露すると、脳内ドーパミンが低下し、ドーパミンのD_2リセプターは低下、D_4リセプターが増加することを見出した。BPAを用いた結合実験からBPA受容体が脳神経に存在することが予測されたので、そのタンパク質の精製を行った。 ラット脳シナプトゾーム(P2画分)を可溶化し、DEAEセルロースクロマトグラフィーを行い、0.2M NaCl画分を得る。この画分をさらに、BPAをリガンドとしたセファローズカラムを作製し、そのカラムを用いたアフィニティークロマトグラフィーを行った。BPAで溶出されるタンパクはシングルバンドで53KDを示した。N-末端アミノ酸配列を決定し、データベースから検索した結果、精製した53KDタンパク質はprotein disulfide isomerase (PDI)と一致した。リコンビナントPDIを作製し、BPAとの結合実験を行った結果、BPAはPDIに特異的に結合することが明らかになった。PDIは、甲状腺ホルモン結合タンパク質で、甲状腺ホルモンのリザーバーとして知られている。したがって、BPAは甲状腺ホルモンを変動させることによって、生体に異常をもたらすと考えられる。リコンビナントPDIと^<125>I-T_3を結合させておき、BPAを加えて、^<125>I-T_3の解離を測定することによって、BPAのPDIに対する結合の強さを測定した。この方法は、各種内分泌かく乱化学物質の中枢神経系への作用を測定するスクリーニング法として有用である。これまで内分泌かく乱化学物質は主にエストロゲンリセプターに結合し、エストロゲン様作用を発現し、主に生殖器に異常を起こしていたが、内分泌かく乱化学物質による中枢神経系への作用は、本研究によって初めて甲状腺ホルモンに影響を与えることが推察された。
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