2001 Fiscal Year Annual Research Report
MCL温熱療法の免疫賦活機構の解明とガン治療への応用
Project/Area Number |
13853005
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小林 猛 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (10043324)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新海 政重 東京大学, 大学院・工学系研究科, 講師 (70262889)
若林 俊彦 名古屋大学, 医学研究科, 助教授 (50220835)
本多 裕之 名古屋大学, 工学研究科, 助教授 (70209328)
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Keywords | 温熱療法 / 免疫賦活 / ガン治療 / ヒートショックタンパク / MHCクラスI / 温熱免疫 |
Research Abstract |
我々が開発したMagnetite Cationic Liposomes(MCL)は、リポソームが正に荷電している性質を利用して、ガン組織に注射すると約6割が残存する。120kHzの交番磁界をかけると、磁性微粒子のみが発熱し、結果としてガン組織のみを特異的に加温できる。また、ガンに対する抗体が開発されている場合には、このような抗体を固定化したリポソームもガン組織に特異的に磁性微粒子を送達する方法として利用できることを腎ガンに対して証明した。このような温熱療法はガン組織だけを44℃あるいは45℃といった温度に保ち、そのことによってガン細胞を殺傷できる。しかし、MCLが注入されなかった部分はあまり加温されない。その結果、ガン組織全体を退縮させることが出来ないと考えられてきた。我々は加温によって強力な免疫力が賦活され、あまり加温されないガン組織も退縮する事を見いだした。この温熱免疫の賦活機構を解明し、ガン治療に応用することを目的に基礎研究を行った。 加温によってヒートショックタンパク、特にhsp70が誘導生成する。加温後24時間で最も強く誘導される。加温によってネクローシス死させられ、断片化したガン細胞由来の各種タンパクをこのhsp70がシャペロンし、ガン細胞自身あるいはマクロファージなどのAntigen Presenting Cellの細胞表面に提示する。そして、MHCクラスIを介したCD8+なT細胞が活性化される、という温熱免疫の機構が解明された。しかし、まだ未解明の部分も残されており、今後詳細な解明が待たれるが、これまでに解明されたことを利用して、強力なガン治療への応用も研究されなければならない。その一つとして、放射線によって誘導生成するプロモーターシステムを使用して、腫瘍壊死因子TNF-αの遺伝子治療と温熱療法との併用に関して基礎研究を行い、大変効果的であることも明らかにした。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Akira Ito 他: "Radiation-inducible TNF-α gene expression under stress-inducible promoter gadd153 for cancer therapy"Journal of Bioscience and Bioengineering. 92・6. 598-601 (2001)
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[Publications] Masashige Shinkai 他: "Effect of functional magnetic particles on radiofrequency capacitive heating : an in vivo study"Japanese Journal of Cancer Research. 93・1. 103-108 (2001)
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[Publications] Akira Ito 他: "Augmentation of MHC class I antigen presentation via heat shock protein expression by hyperthermia"Cancer Immunology and Immunotherapy. 50・10. 515-522 (2001)
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[Publications] Masashige Shinkai 他: "Targeting hyperthermia for renal cell carcinoma using human MN antigen-specific magnetoliposomes"Japanese Journal of Cancer Research. 92・10. 1138-1145 (2001)