2014 Fiscal Year Annual Research Report
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13J06859
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
石津 智大 早稲田大学, 文学学術院, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 視覚認知 / 両義図 / 知覚交代 |
Outline of Annual Research Achievements |
視覚における潜在的・顕在的情報処理の仕組みを解明することが本研究課題の目的である。本年度では、初年度に引き続き、機能的MRIを用いて潜在的な知覚情報処理に関連する脳内機構の解明を進めた。
[両義図形を用いた潜在的な知覚情報処理に関連する脳内機構の研究] 「ネッカーキューブ」や「ルビンの壺」など、同一図形が二通りの知覚的解釈を生じさせる図形を両義図形と呼ぶ。両義図形の観察時には、異なる知覚(例えば、顔と壺)が非随意的に交代することが知られている。非随意的な知覚交代は、潜在的情報処理を考える上で有用な現象の一つである。非随意的な知覚交代に関する脳活動を機能的MRIで記録し、その脳内機構を検討した。その結果、外側前頭前皮質と後頭葉下部を含む前頭-後頭ネットワークと、前部帯状回が活動することがわかった。前頭-後頭ネットワークは、注意の制御や知覚交代で一般的に活動が報告される領域である。一方、前部帯状回は、複数の対立する選択肢が提示された際(conflict resolution)などにおいて、特に活動することが知られている。以上の結果から、両義図形観察という異なる複数の知覚が成立可能な状況においては、一般的な知覚交代に関係する脳内機構に加えて、conflict resolutionに用いられる高次脳領域も協働して、曖昧な知覚情報の解釈を行っている可能性を示すことができた。本研究成果は、国際学会誌Neuroimageに掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
機能的MRIを用いた実験の共同研究先である英国ロンドン大学ユニバーシティー校での研究成果が、原著論文として国際学術誌に掲載されるなど、当初の計画通り研究が進んでいる。三年度目に予定している経頭蓋電流刺激法を用いた研究の準備も、国内の他研究機関と連携して整備をしており、研究計画に沿い順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では、磁気刺激により脳活動に影響を与えることのできる経頭蓋磁気刺激法を用いて、初年度と二年度目で明らかにした脳内ネットワークの活動を変化させ、行動がどのように変化するか検討する。また、二年度目の研究成果の解析を進め、国際学術誌へ投稿する。
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Research Products
(4 results)