2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14081203
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
横田 崇 金沢大学, 医学系研究科, 教授 (50134622)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小出 寛 金沢大学, 医学系研究科, 助教授 (70260536)
柴田 進和 金沢大学, 医学系研究科, 助手 (40372487)
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Keywords | 幹細胞 / ES細胞 / 増殖・分化 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
今年度はこれまでにES細胞におけるSTAT3標的分子として見い出してきたembryonic ectoderm development (Eed)やzinc-finger protein (Zfp)-57に関して詳細な解析を行った。その結果、(1)EedやZfp-57の発現はともにSTAT3の活性化によって誘導される一方で、優性抑制型STAT3の発現やOct-3/4(ES細胞の未分化状態維持に必須な転写因子)の発現停止によって抑制されること、(2)Zfp-57欠損ES細胞は樹立可能だが、Eed欠損細胞は樹立できないことを明らかにした。このことから、STAT3やOct-3/4によって発現が制御されている2つの分子のうち、Zfp-57はES細胞の未分化性維持において必須ではないが、Eedは重要な役割を果している可能性が示唆された。 これと平行してES細胞の分化制御機構についても解析をすすめた。その結果、(1)低分子量GTP結合タンパク質RasがES細胞の分化時に活性化される、(2)分化誘導時にRasの優性抑制型変異体を発現させると、胚体外内胚葉の分化マーカー遺伝子群の発現誘導が抑制される、(3)Raf/MEK/Erk経路を選択的に活性化するRas変異体によって、胚体外内胚葉の分化マーカーの発現が促進される、(4)MEK阻害剤の処理により、胚体外内胚葉の形成および分化マーカーの発現が阻害される、(5)内胚葉分化の阻害分子であるNanogの発現がRasによって抑制されることなどを見い出した。これらの結果より、分化時に活性化されたRasが下流に位置するRaf/MEK/Erk経路を介してES細胞の胚体外内胚葉への分化を誘導していると考えられた。
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Research Products
(5 results)