2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14102005
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
岩崎 雅彦 独立行政法人理化学研究所, 岩崎先端中間子研究室, 主任研究員 (60183745)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
應田 治彦 独立行政法人理化学研究所, 岩崎先端中間子研究室, 先任研究員 (60221818)
松田 恭幸 独立行政法人理化学研究所, 岩崎先端中間子研究室, 研究員 (70321817)
板橋 健太 独立行政法人理化学研究所, 岩崎先端中間子研究室, 研究員 (30322093)
石元 茂 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助手 (50141974)
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Keywords | K中間子 / カイラル対称性 / 高密度核物質 / 静止K-反応 / 中性子測定 / スレレンジネス / 中性子星 / トライバリオン |
Research Abstract |
昨年度とられた^4He(静止K-,p)および^4He(静止K-,n)反応実験(KEK-PS E471実験)のデータ解析を終了した。陽子側のスペクトルに、極めて幅の狭い状態"ストレンジトライバリオン"SO(3115)[質量3117MeV;幅22MeV以下;電荷0;アイソスピン1;ストレンジネス-1]を8σ以上という非常に高い統計精度で発見し、結果をPhys.Lett.B誌に公表、8月25日付けの全国主要新聞各紙にも掲載された。発見された状態を、K-中間子の原子核との束縛状態であると考えると、その束縛エネルギー〜190MeVは理論的予測を遥かに超えるものであり、中性子星密度を超える全く新しい核物質の生成を強く示唆する。さらにもともとの目的であった、^4He(静止K-,n)反応スペクトル上にも、アイソスピン0に対応すると考えられる有意なシグナルS+(3140)を見出し、論文誌に投稿した。この統計的有意性は、未だ3.7σに過ぎず、十分に確定的とは言えないが、陽子側の結果と合わせて考えると、理論によるもともとの予想とは異なり、アイソスピン1状態が基底状態であることになる。その確定は急務である。 E471実験は、中性子測定を主な目的としていたため、^4He(静止K-,p)の包括(inclusive)スペクトルは取られていなかった。これを得るためには、測定器側方に放出された荷電粒子の軌跡を完全に再構成して、入射K-の軌跡とから、標的中でのK-反応点を決定できるドリフトチェンバーが必須となる。今年度の予算は、その大半を、このチェンバーの作成に充てることとなった。荷電粒子に対するTOF分解能を向上する改善も加えた新しい実験E549が、2005年5月からのランを認められており、現在その準備の最終段階にある。先の実験では上限しか決定できなかったSO(3115)状態の幅を高精度で決定するのと同時に、中性子スペクトルの統計も1桁近く向上させて、状態のアイソスピン依存性について決定できる見込みである。
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Research Products
(1 results)