2003 Fiscal Year Annual Research Report
中央アジアにおけるムスリム・コミュニティーの成立と変容に関する歴史学的研究
Project/Area Number |
14201037
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Research Institution | Kyoto University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
堀川 徹 京都外国語大学, 外国語学部, 教授 (60108967)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲葉 穣 京都大学, 人文科学研究所, 助教授 (60201935)
井谷 鋼造 追手門学院大学, 文学部, 教授 (60144309)
磯貝 健一 国際言語平和研究所, 嘱託研究員 (40351259)
帯谷 知可 国立民族学博物館, 地域研究企画交流センター, 助教授 (30233612)
小松 久男 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (30138622)
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Keywords | 中央アジア / ウズベキスタン / フェルガーナ / 古文書学 / イスラーム / 中世史 / 近代史 / 国際研究者交流 |
Research Abstract |
本年度も昨年度同様3班に分かれて研究を行った。以下、各班ごとに研究の実績を記す。 【a班】昨年度のウズベキスタン調査の成果を踏まえて井谷がカザフスタンに出張し、主としてカラ・ハーン朝期の碑文・銘文の調査を実施した。また、昨年度の調査に基づいて稲葉・小野と研究を行い成果の一部を発表した。 【b班】昨年度に引き続き、堀川・磯貝がウズベキスタンに出張し、研究協力者や海外共同研究者と共にフエルガーナにおいて古文書調査を実施した。その間に、京都外国語大学とフェルガーナ州立郷土博物館との間で、フェルガーナの5博物館に所蔵されているイスラーム法廷文書の共同研究協定が結ばれた。研究対象の中には、400点余の紙片文書とともに法廷台帳2冊が含まれており、ロシア帝国支配下のムスリム・コミュニティーの実態を解明するために重要な史料に成るものと期待される。また、2001年に共同研究をスタートさせたヒヴァ市のイチャン・カラ博物館では、新たに300点弱の古文書が収集されたため、これらも共同研究の対象とすることとした。川本・新谷は国内において研究を行い、成果の一部を発表している。また、堀川・磯貝は各種研究会で研究成果を口頭発表している。 秋には、海外協力者のフダイベルガーノフとトショフをわが国に招聘し、京都外語大学と東京の東洋文庫において公開で講演会を実施した。多くの研究者の参加を得て、研究者の国際交流が促進された。また、3月13・14日には、研究成果を広くわが国の研究者と共有するために、昨年に引き続き「中央アジア古文書研究セミナー」を開催し、北海道から九州まで昨年を上回る40名の参加者を得た。 【c班】帯谷・黒田は、昨年の調査に基づく研究を進め、黒田を編者とする叢書に成果を発表した。小松はアメリカとトルコに出張し、国際学会で研究成果を発表すると同時に資料調査を行った。
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Research Products
(15 results)
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[Publications] 堀川 徹: "オスマン帝国時代のイスタンブル-多文化共生の町"異文化を知るこころ(奥川義尚他(編))(世界思想社). 211-224 (2003)
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[Publications] 磯貝健一: "イスラーム教徒の考え方を知る-イスラーム法の話"異文化を知るこころ(奥川義尚他(編))(世界思想社). 141-153 (2003)
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[Publications] ISOGAI Ken'ichi: "A Commentary on the Closing Formula Found in the Central Asian Waqf Documents"Kondo N.(ed) Persian Documents. Social History of Iran and Turan in the Fifteenth-nineteenth Centuries. (Curzon). 3-12 (2003)
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[Publications] 井谷鋼造: "サマルカンドの通称ビービー・ハヌム・マスジドの定礎碑文について"追手門学院大学文学部・アジア文化学科年報. 6号. 1-20 (2003)
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[Publications] 井谷鋼造: "トゥルキスタン市内のアフマド・ヤサヴィー廟について"追手門学院大学文学部・アジア観光学年報. 5号. (2004)
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[Publications] 稲葉 穣: "アフガニスタンにおけるハラジュの王国"東方学報. 京都第76冊. 318-382 (2004)
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[Publications] 稲葉 穣: "南インド・スリランカのイスラーム初伝伝説について"龍谷大学国際社会文化研究所紀要. 6号. (2004)
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[Publications] 新谷英治: "オスマン朝と近世ヨーロッパ像"(谷川稔(編))歴史としてのヨーロッパ・アイデンティティ(山川出版社). 152-168 (2003)
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[Publications] 小松久男: "地域間比較の試み--中央アジアと中東"イスラーム地域研究の可能性(佐藤次高(編))(イスラーム地域研究叢書(1) 東京大学出版会). 49-76 (2003)
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[Publications] 小松久男: "中央アジアにおけるイスラーム復興"イスラーム世界(片倉もとこ他(編))(岩波書店). 72-97 (2004)
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[Publications] Komatsu Hisao: "Bukhara and Kazan"Acta Asiatica(Bulletin of the Institute of Eastern Culture). 86. 75-90 (2004)
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[Publications] 帯谷知可: "ロシア革命期の中央アジアにおける『トルキスタン』の政治的領域をめぐって"中央ユーラシアにおける民族文化と歴史像(東北大学東北アジア研究センター叢書)(黒田卓他(編)). 13号. 77-94 (2003)
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[Publications] 黒田 卓: "ジャンギャリー運動末期におけるイラン・ソ連関係の一断面"中央ユーラシアにおける民族文化と歴史像(東北大学東北アジア研究センター叢書)(黒田卓他(編)). 13号. 95-110 (2003)
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[Publications] 奥川義尚, 堀川徹, 田所清克(編著): "異文化を知るこころ-国際化と多文化理解の視座から-"世界思想社. 276 (2003)
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[Publications] 黒田卓, 高倉浩樹, 塩谷昌史(編著): "中央ユーラシアにおける民族文化と歴史像(東北アジア研究センター叢書第13号)"東北大学東北アジア研究センター. 225 (2003)