2003 Fiscal Year Annual Research Report
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14201040
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
吉瀬 征輔 愛知県立大学, 外国語学部, 教授 (10086209)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
椿 達也 中京大学, 経済学部, 助教授 (50278248)
松本 佐保 名古屋市立大学, 人文社会学部, 助教授 (40326161)
奥田 伸子 名古屋市立大学, 人文社会学部, 教授 (00192675)
坂下 史 東京女子大学, 文理学部, 講師 (90326132)
栗田 和典 静岡県立大学, 国際関係学部, 助教授 (90249300)
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Keywords | ハーバーマスの公共圏論 / フランス史研究と公共圏 / 公論の形成 |
Research Abstract |
本年度の目標は、(1)「公共圏」概念に関わるわが国での成果について研究者を招いて討論し、本共同研究独自の視点を獲得するようにつとめること、(2)研究分担者が本共同研究の課題のために、各自の研究領域で新しい史料の収集・調査を行うことである。 (1)については、公共圏概念を中心に据えた18世紀フランス史の最近の研究成果から学びつつ、イギリスの独自性を明確にすることを目的として2回の討論会を行った。安藤隆穂編著『フランス革命と公共性』(2003年)の執筆陣との討論会、また『編集知の世紀』(2003年)の著者である寺田元一氏との討論会である。この二冊の成果では、対象とする時期が少し異なっているが、いずれもハーバーマスの公共圏論を受けて、特に「公論」の形成に注目している。全般的にいえば、フランス史研究ではハーバーマスの視座が比較的有効であるとの印象をもった。しかし、「公共圏」概念自体は論者によってかなり自由に使われており、どこまでが公共圏かが不明確であるとの批判があった。この問題点については、本共同研究の成果をまとめるまでに何らかの解答を準備するようにしたい。 (2)については、研究分担者のうち3名(吉瀬、坂下、松本)がイギリスを中心とした海外で史料収集と調査を行った。4名の研究分担者(坂下、奥田、勝田、松本)は国内外で開催された国際学会などで、成果を発表した。 本共同研究グループ内部で独自の公共圏概念はまだ得られていないものの、これに関わる問題点を昨年度以上に鮮明にしえたことが、今年の成果といえる。
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Research Products
(17 results)
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[Publications] 江里口 拓: "ウェッブにおける社会進化と社会改良-市場・中間団体・国家をめぐって"岡村東洋光他編著『経済社会思想の進化とコミュニティ』(ミネルヴァ書房). 32-55 (2003)
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[Publications] 江里口 拓: "ウェッブにおける「産業の支配」と一次大戦"愛知県立大学文学部論集(社会福祉学科編). 52号. 1-28 (2004)
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[Publications] 大野 誠: "オランダの独占に挑む:工芸振興協会によるアカネ栽培の奨励、1754〜75年(上)"愛知県立大学外国語学部紀要(地域研究・国際学編). 36号. 59-74 (2004)
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[Publications] 奥田伸子: "「政治」に参加する女性たち-戦間期イギリスにおける女性議員と女性官僚"名古屋市立大学人文社会学部紀要. 15号. 161-186 (2003)
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[Publications] Nobuko Okuda: "A Response to 'After the Vote was Won : Women and the State in Britain since 1918' by Pat Thane"Pro ceedings of the Fourth Anglo-Japanese Conference of Historians. 163-168 (2003)
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[Publications] 勝田俊輔: "書評:山本正「王国」と「植民地」-近世イギリス帝国のなかのアイルランド"歴史学研究. 776号. 67-70 (2003)
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[Publications] Shunsuke Katsuta: "German Palatine immigration of 1709 : An Aspect of transition from Ireland to Ireland of Parliament"Proceedings of the Fourth Auglo-Japanese Conference of Historians. 67-78 (2003)
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[Publications] Shunsuke Katsuta: "The Rockite Movement in County Cork in the Early 1820s"Irish Historical Studies. No.131. 276-294 (2003)
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[Publications] 吉瀬征輔: "ウィルソン「科学革命と社会主義」論と1964年総選挙-戦後労働党のイデオロギーと体質(5)-"愛知県立大学外国語学部紀要(地域研究・国際学編). 36号. 38-58 (2004)
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[Publications] 栗田和典: "ポリスについての覚書き-シティの治安官"ことばと文化(静岡県立大学英米文化研究室). 7号. 85-104 (2004)
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[Publications] 栗田和典: "書評:林田敏子著『イギリス近代警察の誕生』"史林. 86巻3号. 160-167 (2003)
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[Publications] Chikashi Sakashita: "Edward Rigby and the Workhouse Reform in Norwich, 1783-1892"Proceedings of the Fourth Auglo-Japanese Conference of Historians. 103-108 (2003)
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[Publications] 坂下 史: "2002年歴史学会・回顧と展望・ヨーロッパ(近代-イギリス)"史学雑誌. 112編5号. 339-346 (2003)
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[Publications] Tatsuya Tsubaki: "Anglo-Japanese Exchanges in Town Planning : The Case of Tama New Town in the 1960s and William Robson"Planning History. Vol.25,No.1. 4-14 (2003)
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[Publications] Shinichi Nagao: "The Plurality of Philosophical Discourse in the 18th Century : The Case of Thomas Reid"経済科学. 第51巻第3号. 15-28 (2003)
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[Publications] 長尾伸一: "トマス・リード-実在論・幾何学・ユートピア"名古屋大学出版会. 302 (2004)
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[Publications] Saho Matsumoto-Best: "Britain and the Papacy in the age of revolution, 1846-51"Royal Historical Society/Boydell & Brewer. 196 (2003)