2005 Fiscal Year Annual Research Report
前近代の東アジア海域における唐物と南蛮物の交易とその意義
Project/Area Number |
14201044
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Research Institution | National Museum of Japanese History |
Principal Investigator |
小野 正敏 国立歴史民俗博物館, 研究部, 教授 (00185646)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐伯 弘次 九州大学, 文学部, 教授 (70167419)
中島 圭一 慶應義塾大学, 文学部, 助教授 (50251476)
福島 金治 愛知学院大学, 文学部, 教授 (70319177)
村木 二郎 国立歴史民俗博物館, 研究部, 助手 (50321542)
上野 祥史 国立歴史民俗博物館, 研究部, 助手 (90332121)
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Keywords | 交流史 / 東アジア / 中世 / 陶磁器 / 生産地分析 / 国際研究者交流 / 中国・韓国 |
Research Abstract |
東アジアの海を共有の活動舞台とする中世交流史の実態を、「唐物」「南蛮物」をキーワードにして、1)具体的なモノ資料の分析、2)交流・交易の場の機能と景観、人や組織の調査分析を行った。1については、主として日本海側の城館、寺院関連遺跡の陶磁器組成と唐物の交易状況をまとめ、城館・寺院の唐物への文化的需要が地域流通の原動力のひとつとなったことを推定した。一方で、高麗青磁にみる通常の流通とは全く次元の異なるあり方をする高級舶来品があり、贈答など、特別な契機と動きを予測させた。また、遺跡における高麗青磁の保有状況は、高級唐物保有よりも典型的に階層性を示すことが明らかとなった。東国と西国という地域の比較では、唐物と同様に東国にその傾向が顕著である。また、韓国窯跡出土の高麗青磁に関して産地同定をすすめ、昨年度絞り込んだジルコンを標的にした成分分析により主要な3大生産地地域の分離に成功した。2については、主として日本海側の港湾遺跡と東シナ海の島嶼部の遺跡遺物の調査を実施した。中でも、特に奄美大島、喜界島、沖永良部島、対馬は、複数の政治権力の境界領域にあり、かつ東シナ海の航海の結節点となる特異な位置づけが反映された様相が明らかにされつつあり、それらについて現地でも討論を行った。 調査成果の検討とまとめの2回のシンポジウムを開催した。1)「中世の対外交流-場・人・技術」(考古学と中世史研究会共催・2005年4月16,17日)は、主として日本・琉球・朝鮮の交流の場の景観と機能、人の居留問題や石造物や銀山の技術交流に関しての発表と討論。2)「中世東シナ海と交易」(歴博国際シンポ・2005年12月24,25日)は、主として東シナ海島嶼部の様相と唐物、南蛮物の流通問題を発表、討論したもので、台湾、韓国の研究者を交えて実施した。
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Research Products
(3 results)