2004 Fiscal Year Annual Research Report
東アジア社会の法と近代化-法整備支援と法の支配可能性の検証-
Project/Area Number |
14202001
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
棚瀬 孝雄 京都大学, 大学院・法学研究科, 教授 (80022424)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺田 浩明 京都大学, 大学院・法学研究科, 教授 (60114568)
松岡 久和 京都大学, 大学院・法学研究科, 教授 (30165782)
和田 仁孝 早稲田大学, 大学院・法務研究科, 教授 (80183127)
季 衛東 神戸大学, 大学院・法学研究科, 教授 (70224889)
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Keywords | 中国法 / グローバル化 / 法意識 / 離婚紛争 / 慣習法 |
Research Abstract |
04年度は、本研究の3年目にあたり、まず5月に中間報告の意味で、『東アジア社会の法と近代化』と題する報告書を刊行した。「研究の目的と方法」について、研究代表者が書いた序論に続けて、第1部「中国法秩序と21世紀グローバル社会」に11編の論文と、第2部「企業法務調査-タイ・日本-」に3編の論文を収録した。 また04年度の研究として、前年末に実施した、日本の権利意識調査の分析・発表を行った。日本社会で、人々の意識が変わったと言われながらも、基調に、自由主義型の社会とは違う社会の統合や、人のつながりを重視する姿勢が強いことが明らかにされ、興味深いデータが得られた。現在、論文の形でまとめ、出版準備中である。05年度には、中国で同種の調査を行う予定であり、比較して、同じグローバル化の中で、どのようにアジア社会がこの世界的な変化の流れを受け止め、独自の社会の構築を行おうとしているのか、明らかにされるものと期待される。 中国に出かけて行った調査では、民間法と言われる、土着の慣習法が、現在の法制化の中でどのような機能を果たしているかの研究を、現地の学者との面接や文献収集を通じて行った。また、離婚紛争の処理に関して、裁判所や弁護士、離婚当事者にも面接をして、現在の状況を把握した。数年前とは決定的に違い、もはや離婚維持のための努力を地域や職場などまわりの者も参加して行う中国的な方式は見られない。逆に、子どもの監護をめぐる日本やアメリカの深刻な紛争は中国では見られず、子どもがいったん核家族に取り込まれて、それが解体するという「近代家族」が中国では、その親子のつながりを重視する伝統的な家族観、社会主義政権下の家族の社会化などの影響からまだ成立していないことをうかがわせる。 他にも、研究会を開き、中国のとくに憲法改正をめぐる動きなどの理解を深めた。
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Research Products
(7 results)