2002 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロチップテクノロジーを利用した生化学分析システムの構築
Project/Area Number |
14206014
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大久保 明 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (20111479)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安保 充 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 講師 (00272443)
山崎 素直 長崎大学, 環境科学部, 教授 (00011982)
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Keywords | マイクロチップ / PDMS / ヒスタミン / 肥満細胞 / ELISA / TLM |
Research Abstract |
本年度の研究実績として、まず、マイクロチップ作製技術を開発した。マイクロチップ基板として、ポリジメチルシロキサン(PDMS)を用いた。ポリマーの成型用に鋳型が必要となるが、フォトリソグラフを応用し、ガラス鋳型を簡易に作製する方法を開発した。特に、高粘性フォトレジストを使用し、レジスト膜厚を調節することで、金属薄膜を使用しないガラス基板のウエットエッチング法を可能とした。 生化学的応用事例として、マィクロチップ上における免疫細胞への刺激によって放出されるヒスタミンの検出システムを開発した。ヒスタミンはアレルギー誘発物質として注目され、.細胞への刺激による遊離挙動を調べることは生理学的に重要である。ヒスタミンはo-フタルアルデヒドで蛍光誘導体化させた。上記方浩によって微小流路を構築したPDMSマイクロチップを用い、ラット由来の肥満細胞および各試薬を導入してヒスタミンの蛍光誘導体化反応を行った。今回導入した波長可変蛍光顕微検出システム等を用いることで、細胞由来ヒスタミンのチップ上での検出が可能となった。 また、マイクロチップ上で、ELISAシステムによる海産巻貝類中のステロイドホルモンの定量を行った。極めて高い質量感度が要求されるこの実験では、検出機器に熱レンズ顕微鏡(TLM)を用い、ガラス製マイクロチップ内の微小領域において、競合的な抗原抗体反応や酵素反応を行った。マイクロチップ上に堰構造を設け、あらかじめ抗体を吸着させたポリスチレンビーズを保持した。抗体ビーズをチップ内へ導入した後、ホルモンと酵素標識ホルモンによる競合的抗原抗体反応を行った。続いて酵素反応を行い、そこで生成する発色物質をTLMで検出し、検量線を作成した。得られた検量線の定量限界は1pg/mLであり、従来のELISA法より一桁以上感度が上がり、かつ分析時間は1/3に短縮することができた。
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