2004 Fiscal Year Annual Research Report
中枢及び末梢神経の軸索再生と神経幹細胞の分化を促進する人工神経用高機能ゲルの開発
Project/Area Number |
14207073
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鈴木 義久 京都大学, 医学研究科, 助教授 (30243025)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井出 千束 京都大学, 医学研究科, 教授 (70010080)
谷原 正夫 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 教授 (50294286)
中谷 壽男 関西医科大学, 医学部, 教授 (70188978)
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Keywords | 構造多糖類 / 脳脊髄液 / 脊髄損傷 / 再生医療 / ラット |
Research Abstract |
脊髄損傷患者は、全国に10〜20万人いるといわれ、運動神経の麻痺による歩行障害や、感覚神経の麻痺による再発難治性多発褥瘡に悩まされていることが多い。現在、脊髄損傷の治療は急性期のメチルプレドニゾロン治療以外に有効な治療法^<1)>はない。1982年にラットの脊髄損傷部に末梢神経を移植すると移植神経内に侵入した中枢の再生軸索を認めたと報告された。近年は、ES細胞、神経幹細胞、嗅神経鞘グリア細胞などの細胞移植治療によりラヅトの脊髄再生が促される報告が多数なされている。 われわれも、アルギン酸、神経幹細胞、骨髄間質細胞を利用した脊髄損傷の治療法を探索してきた。さらに、損傷脊髄への細胞移植方法として脳脊髄液を経由する方法を研究してきた。 脊髄損傷に対する細胞移植治療の実験では、損傷脊髄に直接細胞を移植する方法が行われてきた。すなわち挫滅損傷した脊髄に直接針を刺し注入する方法である。この方法では、注入操作により残存している損傷されていない神経に追加損傷を及ぼす可能性があり臨床応用を目指すとすれば、現実的な手法ではないと判断した。そこで、われわれは脳脊髄液の流れに着目した。脳脊髄液の大部分は、側脳室内にある脈絡叢で生産される。髄液の産生量は正常な成人で1日約400-500mlであり、1日に3回入れ替わっている。脈絡叢で生産された髄液は、側脳室_モンロー孔_第3脳室_中脳水道_第4脳室_マジャンディ孔及びルシュカ孔を経て脊髄表面に至る。脊髄表面を循環した髄液は上矢状静脈洞近傍のくも膜顆粒より吸収される。従って、脳脊髄液中に細胞を注入することで、脳を含めた脊髄全体に細胞を移植することが可能ではないかと考え、ラットの第4脳室内の脳脊髄液を注入する方法の検討を行った。
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