2005 Fiscal Year Annual Research Report
嚥下障害解明に向けた基礎的研究:嚥下誘発における上位脳の役割
Project/Area Number |
14207077
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
山田 好秋 新潟大学, 医歯学系, 教授 (80115089)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山村 健介 新潟大学, 医歯学系, 助手 (90272822)
井上 誠 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (00303131)
阿部 伸一 東京歯科大学, 歯学部, 助教授 (40256300)
渡邊 裕 東京歯科大学, 歯学部, 助手 (30297361)
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Keywords | 嚥下誘発部位 / ヒト / ウサギ / 帯状皮質 / 弁蓋 / 脳磁図計 |
Research Abstract |
嚥下は咀嚼や呼吸同様、脳幹に嚥下中枢が存在し、この嚥下中枢が中咽頭や食道からの感覚情報を受容し、末梢の蠕動運動機構と共に嚥下に係わる複雑な運動の流れを制御している。これまでヒトの実験において、高い時間および空間分解能を合わせ持つ脳磁図計を用いて、随意的嚥下誘発に関わる脳部位の時間空間的関係を一部明らかにした。昨年度は食物の認知過程に大きな負荷をかけ嚥下を誘発し、対照実験と組み合わせることで、随意的嚥下運動に先立ち活動する主な脳部位を同定した。また、動物実験では嚥下誘発に有効であると考えられてきた特定の部位は、少なくともウサギの大脳皮質感覚運動野では確認できなかった。本年度は最終年度であり、動物で得られた結果とヒトで得られた結果を比較することで、嚥下誘発における上位脳の役割を検討した。 ヒトの実験には認知過程に情動的負荷のかかる「青汁」を試験試料とし、脳磁図計を用いて摂食・嚥下における認知過程の脳内動態を検索し、帯状皮質の嚥下に伴う磁場変化を記録した結果、水などの情動的負荷の小さな食品との比較において特に大きな差は記録されなかった。しかし、弁蓋部の嚥下関連活動は水でも青汁でも一貫して記録された。一方、ウサギの大脳皮質感覚運動野では単独で嚥下を誘発できる特定の部位が見つからなかったが、ヒトの随意的嚥下誘発時には弁蓋部が必ず活動すること、他の研究者によるサルの実験でも弁蓋部の活動が記録されていることから、弁蓋部の嚥下における役割は否定しがたいものがあると結論できる。ウサギのような大脳皮質の発達の悪い動物では嚥下関連皮質部位の発達が悪く、微小電極による従来の電気生理学的手法では検索が困難なことが予想される。
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Research Products
(6 results)