2002 Fiscal Year Annual Research Report
放射線高感受性化をきたすミトコンドリア障害関連核内応答遺伝子の同定
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14207078
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
馬嶋 秀行 鹿児島大学, 歯学部, 教授 (60165701)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 強志 鹿児島大学, 歯学部, 助教授 (90136888)
小澤 俊彦 放射線医学総合研究所, 研究員 (40160858)
丸山 征郎 鹿児島大学, 医学部, 教授 (20082282)
富田 和男 鹿児島大学, 歯学部, 助手 (60347094)
末永 重明 鹿児島大学, 歯学部附属病院, 講師 (00136889)
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Keywords | 放射線感受性 / ミトコンドリア / 放射線応答遺伝子 / DNAアレイ法 |
Research Abstract |
癌放射線療法において、細胞の感受性変化は大きな問題となる。しかしながらこの感受性を変化させる機序においてはあまり研究が進んでいない。申請者は核内の遺伝子の他にミトコンドリアの障害、そしてミトコンドリア内スーパーオキサイドディスムターゼ(SOD)の増加によって放射線感受性が変化することを見つけた。そこで放射線感受性の一部はミトコンドリアにより決定されるという仮説を提唱した。一方、ミトコンドリアDNAと欠損細胞では核内DNAの切断の増加および染色体レベルでの異常な増大を認め、これらミトコンドリア変化による放射線感受性の変化が核内のDNAの変化と密接に関連していることを示唆していた。本研究ではこれまでに行った細胞実験系を用い、ミトコンドリアDNA欠損細胞およびマンガンSOD過剰発現細胞に放射線を照射し、DNAアレイ法を用いミトコンドリア変化による放射線応答遺伝子の発現変化を調べることを目的としている。 本年度ではDNAアレイ法を用いてミトコンドリアDNA非存在下の細胞(ρO細胞)における動態を理解するよう試みた。ρO細胞と親株143B細胞で遺伝子発現の変化を調べると、調べた2400遺伝子のうちρO細胞で発現が5倍以上上昇している遺伝子は360個存在した。それに対し、発現が115以下に下がっている遺伝子は79個にとどまった。また、各遺伝子をカテゴライズし、変化遺伝子群を見ると、分子シャペロン遺伝子群の発現が高まっていることが分かった(過半数が5倍以上)。また、ミトコンドリア関連遺伝子群のなかでは、ミトコンドリア転写因子等の発現が下がり、ミトコンドリア熱ショックタンパク質の発現は全て上昇していた。これらのことよりρO細胞においては、ミトコンドリア関連遺伝子の発現のみならず、核遺伝子の変化、特に分子シャペロン遺伝子の発現が変化することが分かった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Yen H-C, Nien C-Y, Majima HJ, Lee C-P, Chen S-Y, Wei J-S: "Increase of Lipid Peroxidation by Cisplatin in WI38 but not in SV40-transformed WI38 cells"J. Biochem. Mol. Toxicol.. 17・1. 1-8 (2003)
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[Publications] Setsukinai K, Urano Y, Kakinuma K, Majima HJ, Nagano T: "Development of novel fluorescence probes that can reliably detect reactive oxygen species and distinguish specific species"J Biol Chem. 278・5. 3170-3175 (2003)
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[Publications] Koike S, Ando K.Oohira C, Fukawa T, Lee R, Takai N, Monobe M, Furusawa Y, Aoki M, Yamada S, Shimizu W, Nojima K, Majima H: "Relative biological effectiveness of 290 MeV/u carbon ions for the growth delay of a radioresistant murine fibrosarcoma"J Radiat Res. 43・3. 247-255 (2002)
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[Publications] Majima HJ, Nakanishi-Ueda T, Ozawa T.: "4-hydroxy-2-nonenal (4-HNE) staining by anti-HNE antibody"Methods Mol Biol. 196. 31-34 (2002)