Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長崎 晋也 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教授 (20240723)
門 信一郎 東京大学, 高温プラズマ研究センター, 助教授 (10300732)
大矢 恭久 東京大学, アイソトープ総合センター, 助手 (80334291)
虎石 貴 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (40376497)
|
Research Abstract |
1.リチウムセラミックス内欠陥及び表面における水素同位体のその場観察 3keVD_2^+照射により導入された水素同位体の存在状態の変化を,赤外吸収分析を用いて照射時,その後の加熱時にその場観察し,(i)欠陥密度が低い状態では水素同位体はバルクで-100℃〜室温においても熱的に不安定であり,容易に拡散すること,(ii)Li空孔に捕獲されることで拡散が抑制されること,(iii)-OD^-が集合することで,より安定なLiOD相が形成されることが明らかとなった.LiOD相の形成は,比較的少ない数の-OD^-の集合によっても誘起されることが示唆された.数100keVD^+照射下でのその場観察においても同様の水素同位体挙動が見られたが,加えて,F centerの影響を受けた0-Dが検出された. 2.TOF質量・速度分析装置を用いた脱離種の同定 Fe上のFe_2O_3皮膜に吸着した水素同位体は,光照射によって,主にH_2Oとして熱脱離,光刺激脱離することが観察された.光刺激脱離のしきい値は,バンドギャップエネルギーと良い一致を示した.脱離効率が,材料の荷電子帯と励起状態のバンド構造の形状により決定されることが示唆された.Fe_2O_3-TiO_2混在表面においては,Fe_2O_3-TiO_2間の電子移行に起因すると考えられる脱離挙動が観察された. 3.金属酸化物表面に存在する水のその場観察 表面に複数のO-D存在状態が観察され,水素結合する場合に,光照射による高い脱離効率が確認された,H_2Oとして脱離する際の活性化エネルギーが,表面被服率に依存することが示唆された. 4.第一原理計算による水素同位体存在状態の評価 水素はF centerが存在する系において,(i)F centerに捕獲された場合,(ii)近傍の酸素とOH^-を形成した場合にそれぞれ安定位置を持つことがわかった,(i)-(ii)間の移行に必要なエネルギーは,F centerの電荷状態(酸素空孔(F^<2+>),F^+,F^O)に強く依存するが明らかとなった.また,Li空孔と相互作用する水素同位体(V_<OH>)は,集合することで単独で存在する場合よりも安定化することが示唆された.
|