2005 Fiscal Year Annual Research Report
ドンデーン村再々訪:東北タイ天水田農村における40年間の動態研究
Project/Area Number |
14252001
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
舟橋 和夫 龍谷大学, 社会学部, 教授 (80081173)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 行夫 京都大学, 東南アジア研究所, 教授 (60208634)
福井 捷朗 立命館アジア太平洋大学, アジア太平洋学部, 教授 (10027584)
宮川 修一 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (60115425)
星川 和俊 信州大学, 農学部, 教授 (40115374)
野間 晴雄 関西大学, 文学部, 教授 (00131607)
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Keywords | タイ王国東北部 / 天水田農村 / 村落調査 / 40年間の動態調査 / 学際研究 |
Research Abstract |
当年の調査研究も、農学と社会系の両者で合同また個別に実施された。その結果については以下の通りである。 水田全域の稲作調査を行い、GISを用いて集計と地図出力を行った。その結果、水田作付率は94%と昨年度の97%よりは低下し、もち品種の作付面積は84%から81%と引き続き低下傾向にあり、直播は70%から84%へ増加し、灌漑面積は40%から7%へ急減し、除草剤の使用が0%から22%に増加した。稲作技術選択に関する聞き取り調査により、労働力不足と物価上昇が技術変化に強く影響していることが推察された。 土地・水利用に関する村域と周辺域の実態調査を行い、GISを用いて地図出力を行った。村域では、1)'80年代と現在の水田・畑地・菜園を含む全土地利用実態比較調査により、畑地・菜園の減少と水田区画の統合と面積の拡大が顕著にみられた(農学と社会系の統合調査)。2)小規模ポンプ灌漑用水システムと圃場での水利用実態調査から、多様性が顕著に認められた。また周辺域調査において、村の小規模灌慨では水路沿いの限られた水田域の保険的補給灌漑機能に限定されているのに対して、チー川北の大規模灌漑域では乾期作利用が広範囲な地域での展開がみられた。しかし、これら80〜90年代の大規模灌漑システムの老朽化・損傷も著しく、今後の水利システムの整備のあり方が重要な課題となる。 村内での世帯調査は、就業と飯米の調査を行った。就業機会の増大とそれに伴う転職の増加が顕著に認められた。飯米は水田耕作と親族からの購入がみられた。精米所と就業の村外調査では、村人が運び込む精米所は中核的地方都市に限られ、就業場所も中核的地方都市に多く行く傾向がみられた。 村社会の変貌を、住民の学校・教育に関する意識変化から以下の3点を分析考察した。1)小中学校の沿革史を編みながら、1980年代以降の村人の寄付による敷地や諸施設の拡充建設過程を分析し、寺を介した寄付行為から学校への村の直接関与が指摘できる。2)1964、83、2004年の生徒に対する意識アンケート調査を比較した。小学生の進学希望が100%になり、教師や国王への尊敬は減じ、学校は地域社会の中心という位置づけから、教育の質を重視する方向に向かい、経済力のある家庭では都市部への進学熱がきわめて盛んとなった。3)学校の同窓会名簿の追跡調査から、卒業後進学状況を追跡調査した。国立普通高等学校への志向が強いが、現実は私立実業系高校などに多く進学し、学歴のへのこだわりが増した。
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