2005 Fiscal Year Annual Research Report
国境を越える地域経済カバナンス・EU諸地域の先行例を中心とした比較研究
Project/Area Number |
14252007
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
若森 章孝 関西大学, 経済学部, 教授 (60067725)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八木 紀一郎 京都大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (30116511)
清水 耕一 岡山大学, 経済学部, 教授 (00235649)
長岡 延孝 同志社女子大学, 現代社会学部, 教授 (80207985)
丹沢 安治 中央大学, 総合政策学部, 教授 (00146953)
篠田 武司 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (20115405)
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Keywords | EUガバナンス / 越境地域協力 / 地域経済ガバナンス / ソフトな安全保障 / ユーロリージョン / Interreg / 産業地区 / マルティレベル・ガバナンス |
Research Abstract |
本年度は、過去3年間の海外調査で収集した各種の資料やデータを分析し議論し、それをEU統合の拡大と深化の中で意味づける共同研究を重視するとともに、15人の研究参加者がそれぞれの担当地域について調査結果を文章化することに全力を注ぎ、「EUにおける越境地域協力と国境を越える地域経済ガバナンス」の全体像を明らかにする報告書(約330ページ)を作成した。 第1部「越境地域協力とEUガバナンス」と第2部「国境を越える地域経済ガバナンス--Interregとユーロリージョン--」から成る報告書は、「スウェーデン・デンマーク間の国境を越える地域開発」、「ワイダーヨーロッパと地中海南側諸国」「ソフトな安全保障と越境地域協力--カリーニングラードとユーロバルカンズ--」、「旧東独・ポーランド・チェコ3カ国地域の国境を越えるガバナンス」、「カルパチア・ユーロリージョンとクロスボーダー・ガバナンス」、「北欧における国境を越える地域経済ガバナンス」、「フランス・ベルギー国境地域におけるInterreg」、「オランダとドイツの国境地域におけるユーロリージョンの歴史と現状」、「ドイツ・オランダ・ベルギー国境地域におけるInterreg」、「オーバーライン地域における越境協力」、「EUにおける国境を越えた地域経済ガバナンス--ライン河上流地域におけるバイオ産業集積の地平--」、「イタリアの北東部における産業地区の国際的ガバナンス」、「Governance in Spain-Portugal Cross-border Regions.Contrasting Systems of Institutional Integration」、「アイルランドにおけるInterregの試み」、「InterregIIIA・ギリシャ=トルコの役割」から構成されている。 以上の研究報告書を通じて、(1)地域格差の是正によってEUの社会的経済的結束を維持することを目的とするEU地域政策の領域で、EU・中央政府・リージョン政府・地方自治体のマルティレベル・ガバナンスが機能し、リージョンや地方のレベルが政策形成に参画していること、(2)Interregプログラムの実施の仕組みや越境地域協力の課題は西欧や北欧の国境地域と中東欧のそれとでは大きくことなること、(3)EU外部国境における越境地域協力はソフトな安全保障戦略としての意味をもっていること、(4)拡大EUにおけるガバナンスは対内的側面と対外的側面から理解する必要があること、などが明らかになった。
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