2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14310009
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宇佐美 文理 京都大学, 人文科学研究所, 助教授 (70232808)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
船山 徹 京都大学, 人文科学研究所, 助教授 (70209154)
坂内 榮夫 岐阜大学, 教育学部, 助教授 (90225780)
吉川 忠夫 龍谷大学, 文学部, 教授 (30026801)
木島 史雄 愛知大学, 現代中国学部, 助教授 (50243093)
南澤 良彦 九州大学, 文学部, 助教授 (50304465)
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Keywords | 六朝隋唐 / 三教交渉 / 庭誥 / 電子テキスト / 古典読解 |
Research Abstract |
本年度は、当初の研究計画に従い、顔延之の「庭誥」の会読をすすめた。具体的には、計十回の研究会を開催して、分担者ならびに研究協力者四名の参加を得て、毎回訳注作成担当者が訳注を作成するという形で読み進めた。その際には各分担者の専門的見地から検討が加えられ、かつ、購入したパーソナルコンピュータを使って、各種電子テキストや購入した四部叢刊CD-Romなどを駆使して、出典・用例の検討にあたった。結果として、この六朝隋唐という時代がもっている思想的複雑性をある意味で代表する作品である「庭誥」という著作を読みほぐすことにより、この時代の精神史について、各分担者の専門領域における新たな知見と新たな問題点を見いだすことができたと同時に、具体的には「庭誥」のほぼ全体にわたる下訳と注釈を作成することができた。また、注釈においては、これまでの工具書の使用のみによっては見い出し得なかった多くの用例を、注釈作業の過程で集めることができた。なお、用例については再度の検討が必要であり、各自が作成した訳注を全体にまとめた上で、再検討中である。なお、この訳注作業の中で、以下のような知見が得られたことも特記すべきであろうと思われる。それは、このような古典の読解を行っていく際に、古典に高度に習熟した研究者を前にしては、そのレベルに達していない学者がいかなる電子的レベルを駆使しても到達できない「知のレベル」あるいは「知の有機的体系」というものが存在することを「実証」できた、という事実である。
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[Publications] 宇佐美 文理: "雑家類小考"中国思想史研究. 25. 63-90 (2002)
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[Publications] 船山 徹: "龍樹、無著、世親の到達した階位をめぐる諸伝承"東方学. 105. 134 (2003)
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[Publications] 坪内 榮夫: "『玄珠心鏡註』に見える修心思想"唐乗道教の心性思想研究. 15-34 (2003)
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[Publications] 木島 史雄: "中世通儒考"中国中世社会と宗教. 107-140 (2002)
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[Publications] 古勝 隆一: "都講の再検討"中国中世社会と宗教. 141-161 (2002)
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[Publications] 武田 時昌: "中世の数学と術数学"中国中世社会と宗教. 203-221 (2002)