2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14310014
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
町田 宗鳳 東京外国語大学, 留学生日本語教育センター, 教授 (10334450)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島薗 進 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (20143620)
加藤 真三 慶應義塾大学, 看護医療学部, 教授 (30177448)
粟屋 剛 岡山大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (20151194)
上田 紀行 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 助教授 (40211768)
樋野 興夫 順天堂大学, 病理学部, 教授 (90127910)
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Keywords | 死 / ターミナルケア / スピリチュアルケア / インハーンスメント / 遺伝子治療 / 新生児集中治療 / 生命倫理の日米比較 / ヒトES細胞 |
Research Abstract |
平成17年度は、本科研費助成研究の最終年度であった。そのため本研究分担者で構成される<いのち>の研究会は、その総括に努め、それぞれ報告書の執筆に取り掛かった。現時点では、その完成に向けて最終段階に入っている。四年間の研究を経て実感されることは、生命倫理を決して専門知識をもつ研究者の枠内にとどめ置いてはならないということである。臨床の現場で生命科学や先端医療の選択肢を判断するのは、医療従事者のみならず、患者とその家族であり、そのことを考慮するならば、平生から一般市民の間に生命倫理に関する意識を高めておく必要がある。そのためには、生命倫理研究者は複雑な内容をできるだけ平明に表現していく努力を怠ってはならない。 そういう意味で、本研究会の研究分担者、研究協力者とも精力的に研究成果を内外に発表する機会を多くもったことは、大いに評価できよう。一例をあげれば、研究代表者の町田はNHK国際放送で三日間にわたって日本人の生命観を語ったりもしたが、東京医科歯科大学大学院医療管理政策学講座と慶應大学看護学部「<死>の儀礼と生命観」と題する集中講義を開講した。また分担者島薗と共に、陽光文明国際会議「危機の時代における科学と宗教」(淡路夢舞台)に参加し、欧米の研究者と貴重な意見交換を行った。島薗とは、東京大学文学部「多分野交流演習」においても生命倫理に関するリレー講義を実施した。上田は在外研究先のスタンフォード大学で仏教的生命観について開講したことも注目に値する。 また最後の現地調査旅行として、町田・加藤・八木の三名は、インドのカルカッタに所在するマザーハウス「死を待つ人の家」を訪問した。生命倫理を考える上で、つねに専門的知識をもつ研究者との知的交流だけでは十分とはいえず、実際に死に瀕した人々に触れることによって生命の意味を考え直すことがこの調査旅行の趣旨であった。実際に各国とのボランティアと混じり、身体各部をウジ虫にたかられる患者の世話をするなどの体験を重ねることによって、医療の原点に立ち戻ることができたように思われる。 本研究会のメンバーは当該科研費が終了した後も、継続して研究会を開くことを予定しており、一層踏み入った研究成果が報告されることが期待される。
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Research Products
(7 results)