2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14310020
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
丸谷 晃一 中部大学, 人文学部, 教授 (50279999)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
苅部 直 東京大学, 大学院・政治学研究科・法学部, 助教授 (00261941)
岡本 勝 中部大学, 人文学部, 教授 (90024059)
安達 隆一 中部大学, 人文学部, 教授 (80023985)
相原 耕作 東京都立大学, 法学部, 助手 (80336528)
遠山 敦 三重大学, 人文学部, 助教授 (70212066)
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Keywords | 伊藤仁齋 / 伊藤東涯 / 伊藤東所 / 論語古義 / 仁齋日記 / 古義堂文庫 / 林本 / 日本思想史 |
Research Abstract |
荻生祖挾と並んで近世日本を代表する思想家である伊藤仁齋の著作集を刊行することが本研究の目的である。仁齋は、その生涯において『論語』『孟子』等の注釈の改訂に専念し、著作をほとんど刊行しなかった。その改訂が残されている諸稿本が、天理大学付属天理図書館所蔵の古義堂文庫にほぼ完全な形で残されている。ところで、現在部分的に刊行されている仁齋の著作は、仁齋の息子である東涯が父の死後、その稿本に多数の改訂を加えたものが底本として採用されている。この東涯改訂以前の内容と以後のそれとを比較検討した結果、両者の間の相違には、単なる表現上の相違に止まらず、思想的相違が存在するという結論に到達した。この結論に基づいて、仁齋生前の最終稿本とされる『林本』を底本とした『伊藤仁齋集』を刊行することが決定された。 『伊藤仁齋集』の初期の計画では、第一巻『論語古義』、第二巻『孟子古義』、第三巻『大学定本』『中庸発揮』、第四巻『易経古義』『春秋経伝通解』、第六巻『仁斎日札』、第七巻『語孟字義』『童子問』というように、主に儒学関係の著作の収録を考えていたが、第八巻として『日次之覚帳』を始めとする『仁齋日記』を加え、別巻として『東涯日記』『東所日記』をも加えることが、決定された。これは、京都大学文学部教授日野龍夫氏が『伊藤仁齋集』刊行の計画に参加し、古義堂文庫の和文関係の資料の翻刻の担当を承諾したためである。『伊藤仁齋集』編集委員会も日野龍夫京都大学文学部教授、土田健次郎早稲田大学文学部教授、丸谷晃中部大学人文学部教授に決定し、ペリカン社が出版を承諾した。 この『伊藤仁齋集』刊行の最大の難関は、膨大な量の稿本を翻刻し、電子化する作業にある。例えば『論語古義・林本』をとっても墨付き690丁にのぼる量の稿本を一字一句判読し、それを翻刻し、さらに電子化する作業が行われた。我々は、専門的知識を有する博士後期課程以上の大学院生等を動員しながら諸稿本の翻刻を行った。その作業は、困難を極めたが、平成一四年には、仁齋の著作の翻刻をほぼ終了し、それを現在、校正中である。校正の作業と平行して、書き下し文、注釈、解題を書く作業にも着手した。特に書き下し文に関しては、仁齋が送りがな等をほとんど付けていないために、仁齋の訓読を完全に復元することは困難ではあるが、東涯が残した『論語古義・定本』、及び「古学先生訳文」等を参照しつつ、仁齋の訓読に近づける作業を行っている。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 苅部直: "『不思議の世界』の公共哲学---横井小楠における『公論』"佐々木毅・金泰昌編『公共哲学』21世紀公共哲学の地平. 10巻. 47-69 (2002)
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[Publications] 苅部直: "いま、天皇について語ること"大航海. 45号. 136-142 (2003)
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[Publications] 岡本勝: "宣長と松坂"解釈と鑑賞. 67巻9号. 41-46 (2002)
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[Publications] 岡本勝: "晩年の宣長"解釈と鑑賞. 67巻9号. 53-58 (2002)