2002 Fiscal Year Annual Research Report
戦争・他者・芸術-美意識における異文化理解の可能性-
Project/Area Number |
14310024
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
菅村 亨 広島大学, 大学院・教育学研究科, 助教授 (10216294)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 和子 岡山大学, 文学部, 教授 (90093476)
古東 哲明 広島大学, 総合科学部, 教授 (10153777)
水島 裕雅 広島大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (10034597)
末永 航 広島女学院大学, 生活科学部, 助教授 (40187612)
菊屋 吉生 山口大学, 教育学部, 助教授 (60294617)
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Keywords | 芸術 / 戦争 / 異文化理解 / 他者 / 芸術家とパトロン / 国家と植民地 / 無理解と共生 |
Research Abstract |
本研究は戦争を諸文化・諸民族の対立として把握し、学際的問題として包括的な観点を提示することで学問的な批判を深め、多様な価値観の共生の可能性を探ることを目的としている。研究を実施していくにあたり、本年度は研究組織の体制づくりと基礎的研究の蓄積をはかった。 1、本研究は中国地方5大学の研究者によって担われることから研究者間の問題意識の疎通を図り、情報交換のためにインターネツト(e-mail)を利用した連絡体制を作った。また、問題意識の共有化については平成14年10月に組織外の研究者を招いて2回の研究会を持ち、「ヒロシマ」と芸術表現、植民地としてあった韓国、台湾と近代日本の美学・芸術の関わりについて認識を深め、特に東アジアにおける「他者」の形成が西洋文化の視点による「他者」像形成に関わるといったことを明らかにし、確認することができた。またこのことについては本研究の分担者の多く(菅村、水島、古東、原、青木、樋口、長田、大井、末永、安西)が関わった、広島大学を会場として開催された美学会全国大会でのシンポジウム「近代日本の美学と嚢術思想のコンテキスト」の企画コンセプトとして活かされている。 2、各研究分担者は文献収集、作品・資料調査を中心にして基礎的研究を進め、一部発表等により公表した。例えば、文学との関わりでは水島がヒロシマと文学作品についてまとめ、美術史分野では長田がギリシャ美術の戦闘図像について、末永がヨーロツパ美術の中での信仰を取りあげ、芸能関係では青木が日本の近代化の中での蘂術思想についてそれぞれの知見を発表した。
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[Publications] 水島裕雅: "広島の文学館の可能性"藝術研究. 第15号. 81-87 (2002)
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[Publications] 山口和子: "Die Tragweite der romantischen Aesthetik"岡山大学文学部紀要. 第37号. 59-61 (2002)
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[Publications] 樋口 聡: "オリンピツク標語と 日本的感性 をめぐる美学的断章"中村敏雄(編) スポーツ文化論シリーズ11:オリンピック標語の考察. 39-68 (2002)
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[Publications] 長田年弘: "腰抜けパリスと美女ヘレネ-ギリシア神話と美術"人間理解のコモンセンス. 133-150 (2002)
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[Publications] 青木孝夫: "器の詩学"日本の美学. 第35号. 116-129 (2002)
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[Publications] 菊屋吉生: "研究資料 珊瑚会資料集"美術研究. 第376号. 39-68 (2002)
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[Publications] 末永 航: "地中海の暦と祭り"地中海学会(刀水書房). 288 (2002)