2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14310186
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
上原 真人 京都大学, 文学研究科, 教授 (70132743)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阪口 英毅 京都大学, 文学研究科, 助手 (50314167)
森下 章司 大手前大学, 人文科学部, 講師 (00210162)
吉井 秀夫 京都大学, 文学研究科, 助教授 (90252410)
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Keywords | 古墳時代前期 / 対外交渉 / 紫金山古墳 / 朝鮮 |
Research Abstract |
本年度は、本研究の中核的なプロジェクトとなる紫金山古墳(大阪府茨木市)の総合調査研究を進めるための準備作業をおこなうた。第1に、京都大学総合博物館と大阪府立近つ飛鳥博物館の協力をえて、昭和22年調査時の出土遺物の現在の所蔵状況を確認して一覧表を作成し、梅原考古資料・小林行雄資料に残された当時の調査日誌・写真・図面の整理をおこなった。出土遺物のうち、京都大学総合博物館で保管されている遺物については、整理作業を開始した。 第2に、大阪府教育委員会・茨木市教育委員会の協力をえて、紫金山古墳の墳丘規模・構造を明らかにするための現地調査を進めた。今年度は、吉井・阪口を中心として、平成15年3月10日〜23日の日程で、縮尽1/100、等高線間隔25cmの墳丘測量図を作成した。紫金山古墳は、前方後円墳とする説と前方後方墳とする説があり、詳細な墳丘の規模や構造も明らかではない。今回の測量を通して、1)古墳発見の契機となった給水槽の建設時に、墳頂部を中心に墳丘が大きく改変された可能性が高いこと、2)後円部の西斜面と北斜面の一部および前方部の北斜面が、本来の墳丘の状況を比較的よく残していると思われること、3)改変されていない部分の観察による限り、前方後円墳である可能性が高いこと、などが明らかになった。しかし、前方部前端やテラスの位置については、測量のみでは決定できず、来年度の発掘調査を通して明らかにする必要がある。 第3に、紫金山古墳を中心とした古墳時代前期の対外交渉を、多様な角度から明らかにするために、関係する研究者に呼びかけ、研究会を開催することにした。今年度は、平成14年12月21日に森下が「紫金山古墳研究小史」、2月22日に坪井清足(元興寺文化財研究所所長)が「昭和22年の紫金山古墳発掘調査」の題目で発表し、討論をおこなった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 上原真人: "木幡乙女と「盾形」周濠"知のたのしみ 学のよろこび(岩波書店). 177-184 (2003)
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[Publications] 吉井 秀夫: "朝鮮と墳墓と日本の古墳文化"倭国と東アジア(日本の時代史2,吉川弘文館). 168-195 (2002)
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[Publications] 吉井 秀夫: "朝鮮三国時代における墓制の地域性と被葬者集団"考古学研究. 49・3. 37-51 (2002)
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[Publications] 森下 章司: "山東・遼東・楽浪・倭をめぐる古代銅鏡の流通"東アジアと『半島空間』-山東半島と遼東半島(思文閣出版). 115-125 (2003)
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[Publications] 森下 章司: "古墳時代倭鏡"考古資料大観5(弥生・古墳時代鏡)(小学館). 217-316 (2002)
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[Publications] 阪口英毅: "昼飯大塚古墳の内部施設にみられる個性とその背景"国史跡昼飯大塚古墳(大垣市教育委員会). 465-476 (2003)