Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 英樹 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (20153207)
ラマール クルスティーン 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (30240394)
村上 雄太郎 茨城大学, 工学部共通講座, 助教授 (50239505)
鷲尾 龍一 筑波大学, 大学院・人文社会科学研究科, 教授 (90167099)
楊 凱栄 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (00248543)
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Research Abstract |
最終年度である今年度は,これまでの研究成果の一部を発表するため,11月に行われた日本言語学会大会でワークショップ「東アジア諸語の文法化および文法カテゴリーに関する対照研究-ヴォイスと空間表現を中心に-」を行った。このワークショップでは,まず,木村・楊が「中国語諸方言の授与動詞の文法化について-<授与>と<受動>の意味ネットワークに関する方言類型論的考察」というテーマで,北京方言と上海方言の授与動詞が受動文動作者マーカーへと文法化する過程とそこに存在するメカニズムについて論じた。次に,井上が「日本語・中国語・韓国語から見た受動文の類型」というテーマで,「AFFECTの概念に基づく受動」「BECOMEの概念に基づく受動」という観点から,3つの言語のヴォイスの体系について論じた。さらに,ラマールと村上が「越・中対照研究:直示方向のカテゴリー化と「着く」の文法化を中心に」というテーマで,直示,非直示の観点から中国語,ベトナム語における経路動詞のカテゴリー化を論じ,さらにベトナム語DEN(来る,着く)の文法化について中国語と対照しつつ論じた。3つの発表の後に,さらに他の研究分担者も加わり相互討論を行った。ワークショップには多数の参加者があり,活発な意見交換が行われた。これに先立つ9月には研究会を行い,言語学会で行う発表について意見交換を行った。3月にはこれまでの研究成果をまとめて報告書を作成した。 上記の分担者以外では,鷲尾は受動表現の類型と起源について,特に(A)間接受動の成立時期,(B)間接受動が他の言語ではなく日本語において発達した理由を,受動形態素の起源に遡って検討した。星は,「仲間、連れ」等の意味を表す名詞の語幹rogsが動詞と結合した場合の意味など,チベット語の名詞化接辞の文法化に関して研究を進めた。生越はインフォーマント調査などを通して朝鮮語の接辞受動形とcita受動形の使い分けについて分析した。なお,言語学会での発表を中心とし,分担者の研究をまとめた本を出版する計画を進めている。
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