2002 Fiscal Year Annual Research Report
住宅紛争における「コミュニティ」の意義に関する所有法的考察
Project/Area Number |
14320014
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
吉田 邦彦 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (00143347)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
椎名 恒 北海道大学, 大学院・教育学研究科, 助教授 (50281762)
尾崎 一郎 北海道大学, 大学院・法学研究科, 助教授 (00233510)
早川 和男 長崎総合科学大学, 人間環境学部, 教授 (60116241)
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Keywords | 住宅所有 / コミュニティ再生 / 震災問題 / ホームレス / 賃貸借規制 / 都市問題 |
Research Abstract |
住宅紛争を、(1)その背景をなすコミュニティの問題を視野に入れて、医療福祉や住宅・都市行政とも連携させつつ、考察し、(2)基礎文献(外国文献)をも参酌しながら、所有権概念の再考に取り組むというのが本研究の主眼であるが、本年度にはかなりの実態調査を行うことができ、その所有概念との関わりもつかむことができ、この研究の輪郭・方向性を得るに至り、居住福祉学会での報告の後、随時公表されている。 すなわち、コミュニティ問題として、(a)震災関連として、すでに調査している神戸市長田地区の再開発の実状把握に加えて、神戸市・宝塚市の震災マンション(建て替えを巡る紛争)をインタビュー調査し(2002.11)、さらに、鳥取西部地震の痕跡も訪ね、そこにおける公的支援の意義も明らかにすることができた(2002.6)。(b)ホームレス問題については、大阪釜が崎の寄せ場・シェルター・サポートハウジングの実態を調査し、草の根NPOとも連携することにした(2002.8)。(c)さらに、過疎ないし山間僻地における集落移転については、岩手県沢内村長瀬野地区を調査し(2002.8)、また有珠山噴火との関連での移転問題についても調査できた(2002.6)。 他方で、外国法研究(文献研究)も、鋭意進行中で、とくにアメリカの状況との比較研究として、(d)まず広く背景問題として、都市の住宅事情・コミュニティの変貌を考察し、そに対する公的介入のめぼしいものとして、(e)レントコントロール,(f)居住適格保障、そして(g)コミュニティ再生運動(community economic development)に注目している。そして、(e)に関してはそのメッカともいえるサンタモニカ市役所(レントコントロール事務局)で、インタビュー調査を行ったし、(g)に関しては、近年荒廃からの再生で注目されているボストン・ロックスベリ地区、また東パロアルト市を視察した(2002.9-10)。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 吉田邦彦: "居住法学問題の俯瞰図(1)(2)(3・完)-住宅所有権・賃借権規制を巡るディレンマと公共的保護という観点からの再編"みんけん(民事研修). 549号 550号 551号. 10-25,3-22,1-18 (2003)
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[Publications] 吉田邦彦: "21世紀における『民法と社会』を考える-批判的『法の支配』構想一斑-"法社会学. 58号. 115-138 (2003)
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[Publications] 早川和男: "二十一世紀の国家戦略としての居住保障"議会と自治体. 48号. 80-88 (2002)
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[Publications] 尾崎一郎: "現代の社会変動とコミュニティ論"都市問題研究. 54巻7号. 74-88 (2002)
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[Publications] 尾崎一郎: "トラブル処理のしくみ-紛争処理機関の全体システム"和田仁孝=太田勝造=阿部昌樹編『交渉と紛争処理』(日本評論社)所収. 43-59 (2002)
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[Publications] 椎名 恒: "北海道にみる野宿者と失業・雇用問題(上・下)"経済. 88号 89号. 71-89,134-150 (2003)
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[Publications] 小田実, 早川和男, 黄〓暎, 玄基榮編著: "『識見交流』第1号(『老い』の新たな視点:特集)"済民日報(創元社発売). 307 (2002)