2003 Fiscal Year Annual Research Report
住宅紛争における「コミュニティ」の意義に関する所有法的考察
Project/Area Number |
14320014
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
吉田 邦彦 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (00143347)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
椎名 恒 北海道大学, 大学院・教育学研究科, 助教授 (50281762)
尾崎 一郎 北海道大学, 大学院・法学研究科, 助教授 (00233510)
早川 和男 長崎総合科学大学, 人間環境学部, 教授 (60116241)
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Keywords | 住宅所有 / コミュニティ再生 / 震災問題 / ホームレス / 賃貸借規制 / 都市問題 |
Research Abstract |
住宅紛争を、(1)その背景をなすコミュニティの問題を視野に入れつつ、(2)医療・福祉行政、住宅都市政策、雇用対策、教育・家族問題などとも連携させ、(3)かつ基礎文献(外国文献)をも参照しながら、所有権概念の再考に取り組むという本研究の基本線は、同じであるが、今年度は、昨年度のアメリカにおける調査・研究の成果が公表され、これは、本研究の基盤をなす部分の成果公表である。 今年度はさらに、(a)わが国の過疎高齢化が進む中山間地の居住コミュニティの実態調査として、高知県檮原町を訪ねて、森林率の高い過疎地の活性化の方途を考え(2003.5)、また昨年度の調査の継続として、岩手県沢内村での集落移転・医療事情・雇用創出の状況調査を行い(2003.7)、いずれも、本研究分担者の早川教授が会長を務める居住福祉学会の現地研修会として、現場の居住者との意見交換も行った。また新たな問題群として(b)障害者福祉との接点について、研究調査を開始した。まず、町ぐるみの障害者居住について先進地域でもある北海道伊達市の太陽の園、旭寮(2003.12/2004.3)及び浦河町「べてるの家」を訪ねて(2004.3)、障害者の地域生活支援の現場を視察した。また、全国的に有名な和歌山市の「麦の郷」において、障害者及びスタッフの方がたとともに、障害者の雇用開発、居住環境改善、コミュニティ活動、教育施設のあり方について検討した(2004.1)。他方で、障害者虐待の損害賠償の最初の判決である滋賀県のサン・グループ事件について、判例研究を行った。その他、(c)居住コミュニティの外郭的問題とも言える市町村合併について、全国的にも有名な北海道奈井江町を訪ねて、北町長と対談し、同町の実態視察を行った(2004.3)。地方自治の将来構想に研究を進める予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 吉田 邦彦: "アメリカの居住事情と法介入のあり方(とくにボストンの場合)(1)〜(3・完)-居住隔離とレント・コントロール、居住適格保証、コミュニティ再生運動"民商法雑誌. 129巻1号, 129巻2号, 129巻3号. 1-36, 161-198, 297-345 (2003)
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[Publications] 吉田 邦彦: "いわゆる『補償』問題へのアプローチに関する一考察(上)(下)-民族間抗争の不法行為の救済方法(日米比較を中心として)"法律時報. 76巻1号, 76巻2号. 64-71, 107-112 (2004)
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[Publications] 早川 和男: "居住環境と居住保障の実現は基本的人権の実現"住居環境(韓国住居環境学会). No.1. (2003)
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[Publications] 尾崎 一郎: "マンション建築紛争と「コミュニティ」"地方自治職員研修. 36巻11号. 29-31 (2003)
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[Publications] 椎名 恒: "札幌市のホームレス問題-調査と支援活動からみえてきたもの-"北海道経済(北海道経済研究所). 456号. 1-26 (2004)
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[Publications] 椎名 恒: "第二部第1章 北海道における「季節労働」「季節労働者」の意味するもの"建設政策研究所北海道センター『北海道季節労働者白書-第3集-』. (所収). 84-96 (2003)