2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14330014
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
二村 博司 広島大学, 経済学部, 助教授 (70263663)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀧 敦弘 広島大学, 経済学部, 教授 (40216809)
矢野 順治 広島大学, 経済学部, 教授 (40210306)
菅 壽一 広島大学, 経済学部, 教授 (70033743)
鈴木 喜久 広島大学, 経済学部, 助教授 (50311808)
千田 隆 広島大学, 経済学部, 助教授 (00304387)
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Keywords | 少子・高齢化 / サービス化 / 産業構造 / 市場の失敗 / 情報の非対称性 / ネットワーク外部性 / 傾斜生産方式 / 経済復興政策 |
Research Abstract |
本研究の目的は、家計と企業の最適化行動を織り込んだうえで、実行可能な経済政策の効果を、実証的・規範的に分析することである。(研究計画調書「研究目的」参照。)3年計画の2年目である、平成15年度では、以下のような研究成果が得られた。 1.菅壽一、「財政赤字と財政再建-政府予算制約の含意を中心に-」広島大学経済論叢、第27巻第1号、2003.7わが国の財政はいずれ自動的に均衡を回復し、破綻の懸念はないといえるのであろうか。どのようなメカニズムで、このような深刻な事態に陥ったのか。わが国の政府は、この財政赤字に対処できる能力をもっているのだろうか。長期停滞のなかで、財政政策は文字通り財政赤字の罠に嵌り、身動き取れない状況にある。破綻の道への歩みを食い止めるには、どのような処方箋を描けばよいのか。政府予算制約から得られる財政赤字と公債に関する基本的な算術と論点の再整理を通して考える。 2.二村博司,Internalizing Technological Externality under Default Risk、November,2003広島大学ディスカッションペーパーNo.2003-5(学術誌に投稿中):第2次世界大戦後の復興期において、我国政府は鉄・石炭・電力といった、全産業の基盤となる部門の回復を優先目的とした「傾斜生産方式」を試みた。傾斜生産方式の軸となるのは(i)目的産業の生産費用を補填すること、(ii)国策銀行である「復興金融公庫(日本開発銀行)」を通じた、目的産業への優先的資金配分という、2つの政策手段であった。本研究では、(1)生産関数における技術的外部効果と、(2)債務者である企業による貸倒れリスクという、2種類の市場の失敗が存在する経済においては、上述した傾斜生産方式によって、社会的に最適な(ファーストベストな)資源配分を実現できる可能性を示した。現在長期の不況に陥っている我国が復興するためには、情報化産業を軸とした企業間・産業間ネットワークを構築し、これを利用することによって生産性を向上させることが期待されている、しかしながらネットワーク外部性の存在による過小投資や、新技術導入の伴う貸し手・借り手間の情報の非対称性など、今日の我国が抱える問題は、戦後復興期と共通する点が多い。このことから、本研究における経済政策分析から得られた知見は、今後の我国における経済政策の運営に対して重要な支店をあたえるものと期待される。
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Research Products
(1 results)