2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14340056
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
幸崎 秀樹 九州大学, 大学院・数理学研究院, 教授 (20186612)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
泉 正己 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (80232362)
内山 充 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (60112273)
松本 健吾 横浜市立大学, 大学院・総合理学研究科, 助教授 (40241864)
増田 俊彦 九州大学, 大学院・数理学研究院, 助教授 (60314978)
綿谷 安男 九州大学, 大学院・数理学研究院, 教授 (00175077)
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Keywords | 不確定性原理 / 作用素平均 / ポアソン境界 / 作用素環 / C^*-環 / Rohlin性 / III_I型因子素環 / 部分空間の配置 |
Research Abstract |
研究代表者は量子論の不確定性原理と関連するトレース不等式の研究を行った。skew informationの概念は量子理論関連諸分野において近年注目を浴びており、様々な角度からの研究が行われてきた。最近のJ.Stat.Phys.の論文において、S.LuoとZ.Zhangはこの概念を利用した不確定性原理と関連のある種不等式を発表し、関連するトレース不等式の成立を予想として提出した。研究代表者はこの予想を肯定的に解決するとともに、発表されたLuo-Zhang不等式の証明に誤りがあることを明らかにした。また、ここ数年一環して推し進めている作用素平均の理論に関しても着々と成果を蓄積中である。ある程度くぎりの付いた時点で成果を何らかの形で発表する予定である。 分担者泉氏は非可換ポアソン境界の理論を構築し、ある種コンパクト量子群のポアソン境界を決定した。この理論は因子環への(量子)群作用の研究と深く関わっており、作用素環への作用の研究を大きく前進させるものとして期待されている。また、Rohlin性を巧みに利用し、C^*-環のある種の(高い外部性を有する)群作用の分類にも成功した。これらの成果は国際的にも注目を浴びている。 分担者増田氏はPopaによるIII_I型部分型因子環の分類定理の別証明を得て論文として発表した。「別証明」とはいえ、もともとのPopaの分類定理の証明の詳細がいまだに発表されていないので、この論文の価値は高い。またこの別証明はConnes-Haagerupの(AFD) III_I型因子環の一意性の証明の考え方に基づいているが、増田氏の論文ではConnesの難解な議論も分かり易い形で交通整理もされており、その点からも価値がある。 分担者綿谷氏は榎本氏(甲子園大)との共同研究として、4つの部分空間の配置に関するGelfand-Ponomare理論の無限次元の場合への拡張を行っている。従来のこの方面の研究では、多くの重要な例において部分空間の内の一つが作用素のグラフとして実現され、この研究は作用素自身の研究とも関係が深い。最近の彼等の研究では本質的に作用素から来ない例が考察され新たな局面が展開されようとしている。また、一方他の分担者梶原氏の共同研究として、C^*-両側加群、位相力学系から自然に生じるC^*-環の性質を解明しつつある。
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Research Products
(7 results)