2002 Fiscal Year Annual Research Report
衛星軌道からの最高エネルギー宇宙線観測のための焦点面検出器の基礎研究
Project/Area Number |
14340084
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
清水 裕彦 理化学研究所, イメージ情報技術開発室, 室長(副主任研究員待遇) (50249900)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榊 直人 理化学研究所, 情報環境室, 研究協力員 (90342790)
竹田 成宏 理化学研究所, イメージ情報技術開発室, 基礎科学特別研究員
川崎 賀也 理化学研究所, イメージ情報技術開発室, 基礎科学特別研究員 (70344033)
戎崎 俊一 理化学研究所, 情報基盤研究部, 基盤研究部長 (10183021)
滝澤 慶之 理化学研究所, イメージ情報技術開発室, 研究協力員 (70312246)
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Keywords | 宇宙線 / 最高エネルギー / 光電子増倍管 / 宇宙物理学 |
Research Abstract |
EUSO望遠鏡では直径2.5mの両面フレネルレンズ2枚を用いた光学系となっており、その焦点面は曲面で視野角60°の領域で0.1°の角度分解能が得られる。0.1°に対応する焦点面上の距離はおよそ4mmでこれをマルチアノード光電子増倍管で覆う。 本研究においてはマクロセルと呼んでいる光電子増倍管36本からなる焦点面検出器モジュールを開発し、その評価を行う。従来市販されている8×8ピクセルのマルチアノード光電子増倍管が候補にあげられていた。その有感領域は中心部に集まっており、EUSOの焦点面検出器のように並べて面を構成する際には約45%という有感領域率の低さが問題点となっている。この大きな不感領域のために、一様な有感領域が作れないことや、空気シャワーイメージが連続した像にならないことが問題になる。 これらの問題を解決するためにマルチアノード光電子増倍管の光電面と初段ダイノードの間に電子収束機能を採用した弱電子収束型マルチアノード光電子増倍管の開発を行った。まず4×4チャンネルのものを試作し、その性能を評価したところ、期待通り有感領域率が約85%であることが確認できた。光電子収束時の位置情報のずれもそれほど大きくなく、十分実用に耐えることが確認できた。この4×4チャンネルの光電子増倍管の場合、1ピクセルは約6mm角で、EUSO望遠鏡に必要とされる角度分解能に到達できない。そこで、アノード分割数を増やしたタイプ(5×5、6×6)の試作も行った。これらも期待通りの基本性能を示しており、現在、より詳しい性能評価を行っている。 また、約15%の不感領域を無くすために、紫外透過フィルターを用いたライトガイドの検討をおこなった。表面反射防止処理を施したテーパー型の紫外透過フィルターを光電子増倍管の前面に取り付けることで、EUSO光学系において、95%以上の有効感度領域率を達成できることが判った。
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