2003 Fiscal Year Annual Research Report
正方ピラミッド型5配位を持つ遷移金属酸化物の電荷・スピン・軌道状態
Project/Area Number |
14340205
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上田 寛 東京大学, 物性研究所, 教授 (20127054)
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Keywords | 遷移金属酸化物 / 5配位正方ピラミッド / 電荷・スピン.軌道状態 / 圧力誘起超伝導 / 電荷・軌道整列 / 電荷移動 |
Research Abstract |
結晶構造がVO_6八面体とVO_5正方ピラミッドからなるフレームワークとそのトンネルサイトを占める陽イオンより構成されるベータバナジウムブロンズβ-A_<1/3>V_2O_5(A=Li,Na,Ag,Ca,Sr,Pb)を合成し、その電子状態を調べた。A=Pbを除く全ての化合物は金属-絶縁体転移を示す。この転移は、金属相で一様に分布していた電荷(d電子)が、本来V^<5+>にとって好都合の環境であった5配位VO_5正方ピラミッドサイトからV^<4+>にとって好環境のVO_6八面体サイトに電荷移動が起き、それが引き金となって、電荷の凝縮と秩序化が起こると理解される。興味深いことは、加圧により電荷秩序は抑えられ、A=Na,Agでは超伝導相が電荷秩序相に隣接して現われることである。これは酸化バナジウムでは初めての超伝導観測であり、また、量子臨界点近傍での相転移、電荷秩序と競合する超伝導という観点から、強相関電子系研究において注目されている。A^<2+>化合物では加圧により電荷秩序は融解するが超伝導は現われず、超伝導発現のための最適ドーピングレベルの存在を示唆している。 他の5配位正方ピラミッド関連物質としてYBaCo_2O_<5.5>の電子状態を調べ、6配位CoO_6のCo^<3+>は低スピン非磁性状態にあり、5配位CoO_5のCo^<3+>は中間スピン状態にあることを明らかにした。 5配位正方ピラミッドを利用した物質開発として、A-サイト秩序型ペロフスカイトMn酸化物およびCo酸化物の合成に成功した。これは、中間物質として希土類金属イオンとBaイオンが層状に配列し、希土類金属イオンは8配位を持つ酸素欠損型ペロフスカイト物質を合成し、それを低温で酸化させることにより得ることが出来た。A-サイト金属イオンがランダムに分布した従来型に比べ、様々な特異な電荷・スピン・軌道結合物性を示すことを見出した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] T.Nakajima: "Structures and Electromagnetic Properties of New Metal-Ordered Manganites : RBaMn_2O_6 (R=Y and Rare-Earth Elements)"J.Phys.Soc.Jpn.. 71. 2843-2846 (2002)
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[Publications] C.Presura: "Charge-Ordering Signatures in the Optical Properties of β-Na_<0.33>V_2O_5"Phys.Rev.Lett.. 90. 036402-1-026402-4 (2003)
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[Publications] H.Kageyama: "New Stacking Variations of the Charge and Orbital Ordering in the Metal-Ordered Manganite YBaMn_2O_6"J.Phys.Soc.Jpn.. 72. 241-244 (2003)
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[Publications] N.Nagao: "X-ray study of modulated structures of β'-Cu_xV_2O_5 (x=0.29,0.39)"Physica B. 329-333. 713-714 (2003)
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[Publications] M.Itoh: "Local magnetic properties and spin state of YBaCo_2O_<5.5> : ^<59>Co NMR study"Physica B. 329-333. 751-752 (2003)
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[Publications] T.Ohama: "Magnetic excitation in the high-temperature phase of α'-NaV_2O_5"Physica B. 329-333. 934-935 (2003)