2004 Fiscal Year Annual Research Report
正方ピラミッド型5配位を持つ遷移金属酸化物の電荷・スピン・軌道状態
Project/Area Number |
14340205
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上田 寛 東京大学, 物性研究所, 教授 (20127054)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植田 浩明 東京大学, 物性研究所, 助手 (10373276)
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Keywords | 遷移金属酸化物 / 正方5配位ピラミッド / 電荷・スピン・軌道 / 電荷整列転移 / 超伝導 / 軌道秩序 / 磁性 |
Research Abstract |
5配位VO_5と6配位VO_6より形成されるV_2O_5フレームワークとそれがつくるトンネル位置を占めるAイオン(A=Li, Na, Ag, Ca, Sr, Pb)より構成されるベータバナジウムブロンズA_<0.33>V_2O_5について単結晶育成と構造物性評価を行った。A=Pbを除くすべては、3倍周期の電荷整列を伴う金属-絶縁体転移を示し、圧力により電荷秩序相は融解するが、A=Li, Na, Agでは電荷秩序相に隣接して超伝導相が出現する。超伝導転移温度はA=Ag, Na, Liの順に上昇し、予備実験的ではあるがA=Liでは20Kを超える兆候を見出した。超伝導転移温度の上昇は電荷整列温度と比例関係にあり、超伝導の起源として電荷揺動が考えられる。本来5配位正方ピラミッド中のVイオンは5価をとる傾向にあり、その電荷不安定性、電荷揺動が超伝導の起源の可能性がある。 一方、正方5配位ピラミッドより構成されるRBaCo_2O_<5+x>,RBaMn_2O_<5+x>を中間生成物としてAサイト秩序型ペロフスカイト酸化物RBaCo_2O_6,RBaMn_2O_6の合成に成功した。(ここでR=希土類金属)。秩序型LaBaCo_2O_6および無秩序型La_<0.5>Ba_<0.5>Co_2O_3とも低スピン状態と中間スピン状態の混合状態をとり、金属強磁性転移を示したのち、低温で構造変化を伴って半導体磁気グラス状態に変化する。両者では磁化率変化、構造変化、伝導性が微妙に異なり、これらは部分的に秩序する軌道が異なるためと考えられる。RBaMn_2O_6ではAサイトの層状配列に起因してAタイプと呼ばれる軌道磁気秩序状態が安定となる。また、Aサイトのランダムネスが存在しないことより電荷・軌道整列温度が無秩序型に比して室温以上と高く、これを利用して、わずかにランダムネスを導入することにより酸化物でははじめての室温での200%以上の巨大磁気抵抗の実現に成功した。
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Research Products
(6 results)