2003 Fiscal Year Annual Research Report
花期に関与する遺伝子を指標とした交雑起源種の種分化機構の解析
Project/Area Number |
14340266
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
小藤 累美子 金沢大学, 自然科学研究科, 助手 (40324066)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 健一郎 金沢大学, 理学部, 講師 (30282198)
木下 栄一郎 金沢大学, 自然計測応用研究センター, 助教授 (70234317)
植田 邦彦 金沢大学, 自然科学研究科, 教授 (60184925)
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Keywords | モウセンゴケ / コモウセンゴケ / トウカイコモウセンゴケ / 複二倍体 / 交雑起源種 / 花期 / 種分化 |
Research Abstract |
本研究は、モウセンゴケ、コモウセンゴケという、花期の異なる2種を両親種とする交雑起源種であるトウカイコモウセンゴケが種として固定する際に、どのような遺伝子発現の再編成が起ったかを明らかにすることが目的である。本研究を始めるまでに、トウカイコモウセンゴケが両親種の花期を和にした長い花期を持つことが、昨年度までに、花序形成遺伝子であるLFYの表現型と関連づけられる開花時の葉の枚数が、モウセンゴケ、コモウセンゴケでは種によって一定していること、トウカイコモウセンゴケでは両親種の中間値となる地域、両親種の和となる広い変異を示す地域と、地域により異なる値を示すことが明らかになっていた。本年度は、このことを踏まえ、複数の地域のトウカイコモウセンゴケについて研究を行うこととした。 北陸2カ所、東海1カ所、近畿1カ所の計4カ所から3種を採集し、室内で栽培するとともに野外での調査も行ったところ、その過程で、両親種モウセンゴケ、コモウセンゴケには、花期以外の生活史についても違いがみられることが明らかになった。モウセンゴケの花期は5-7月であり、種子はその後すぐに散布され休眠を経て翌年4-6月に発芽、さらに翌年の5月にはじめて開花した後枯れるという二年生の生活史を持つのに対し、コモウセンゴケの場合は花期は4-9月で、散布された種子は休眠することなくすぐに7-12月に発芽し、翌年の4月には開花した後枯れる、という越年生の生活史を持つことがわかった。一方、調査した4地点でのトウカイコモウセンゴケは、形態的特長、花期、花序数や開花様式に関しては両者の中間型または和であるのに対し、生活史は調査地点により、両親種各々と同じ型、中間の型と、異なる表現型を示すことが明らかになった。このことは、トウカイコモウセンゴケの起源が地点によって異なり、異なる遺伝子の再編成が起ったことを示唆していると考えられる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Nakano, M. et al.: "Life history traits of an amphidiploid, Drosera tokaiensis, and the parental species, D.rotundifolia and D.spatulata(Droseraceae)"Plant Species Biology. 19(in press). (2004)
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[Publications] Nishizawa, T. et al.: "Development of polymorphic microsatellite markers in Arisaema serratum(Thunb.) Schott.Araceae"Moleculor Ecology Notes. 3. 32-34 (2003)
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[Publications] Kofuji, R. et al.: "Evolution and divergence of the MADS-box gene family based on genome-wide expression analyses"Molecular Biology and Evolution. 20・12. 1963-1977 (2003)
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[Publications] Sakakibara, K. et al.: "Involvement of auxin and a homeodomain-leucine zipper I gene in rhizoid development of the moss Physcomitrella patens"Development. 130・3. 4835-4846 (2003)
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[Publications] Chaal, B.K.et al.: "A thylakoidal processing peptidase from the heterokont alga Heterosigma akashiwo"Plant Molecular Biology. 52・2. 463-472 (2003)
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[Publications] Archibald, J.M et al.: "Lateral gene transfer and the evolution of plastid-targeted proteins in the secondary plastid-containing alga, Bigelowiella natans"Proceedings of the National Academy of Sciences. 100・13. 7678-7683 (2003)