2004 Fiscal Year Annual Research Report
花期に関与する遺伝子を指標とした交雑起源種の種分化機構の解析
Project/Area Number |
14340266
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
小藤 累美子 金沢大学, 自然科学研究科, 助手 (40324066)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植田 邦彦 金沢大学, 自然科学研究科, 教授 (60184925)
木下 栄一郎 金沢大学, 自然計測応用研究センター, 助教授 (70234317)
石田 健一郎 金沢大学, 自然科学研究科, 助教授 (30282198)
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Keywords | モウセンゴケ / コモウセンゴケ / トウカイコモウセンゴケ / 生活史 / 種分化 / 交雑起源 / 異質倍数体 / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
前年度までに、トウカイコモウセンゴケの生活史が、北陸2カ所、東海1カ所、近畿1カ所の計4カ所の集団で異なる傾向を示し、それが遺伝的に固定されているらしいことが明らかになっていた。本年度はこのことを踏まえ、トウカイコモウセンゴケの各集団ごとの遺伝子構成および遺伝子発現を比較した。 その結果、葉緑体ゲノムの非コード領域の解析からは、トウカイコモウセンゴケはいずれの集団でもコモウセンゴケと100%同一の配列を持つこと、核ゲノムのITS領域及びatpG遺伝子の解析からは、コモウセンゴケが異質倍数態であり2種類の塩基配列を持つこと、トウカイコモウセンゴケは両親種であるモウセンゴケ由来の1種類、コモウセンゴケ由来の2種類の配列を併せ持つことが明らかになった。このことは、いずれの集団のトウカイコモクセンゴケも、モウセンゴケを父親、コモウセンゴケを母親としており、且つ成立してから塩基配列に変異が起るほどの時間が経過していないことを示している。また、花期遺伝子であるCOホモログ遺伝子を含む複数の遺伝子の発現解析から、トウカイコモクセンゴケでは、両親種由来の遺伝子の一方が個体ごとに異なる組み合わせで発現している可能性が示唆された。 これらの結果から、交雑起源種であるトウカイコモウセンゴケでは、両親種由来の遺伝子が異なる組み合わせで発現することにより、両親種とは異なる、また集団間でも異なる生活史特性を示すのではないかと考えられる。この生活史特性が少なくとも次世代には遺伝することから、どちらの遺伝子が発現するかは、メチル化などによるランダムな発現抑制、あるいは発現制御に関与する領域の変異によって引き起こされている可能性が考え得る。
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Research Products
(6 results)